福岡の商店街を舞台に、学生が地域の困りごとと向き合い、課題解決のためのアプリを考えていく——。
福岡未来創造プラットフォーム主催の「まち×デジプロジェクト」は、マーケティングやノーコード開発を学びながら、実際の現場で課題を発見・検証し、ノーコードツール「Click」を活用してサービスをつくり上げる、実践型プログラムです。
今回この取り組みには、LINEヤフーコミュニケーションズのITイノベーション部から3名が社会人メンターとして参画しました。ITイノベーション部は、LINEヤフーおよびグループ会社のシステム開発を通じて、社内業務の改善を担う部署です。約3か月間、学生たちに寄り添いながら、企画や設計、発表に向けた内容や伝え方を一緒に検討しました。
さらに企業として、学生の挑戦を応援するために「LINEヤフーコミュニケーションズ賞(企業賞)」も設け、成果発表会の場で表彰を行いました。
本記事では、学生と地域の現場をつなぐこのプロジェクトにLINEヤフーコミュニケーションズがどのように関わったのか、学生がどのように成長していったのかを、プログラムの様子や学生の声とともにお届けします。
「まち×デジプロジェクト」の特徴は、講座で身につけた知識をそのまま現場で試し、形にしていく点にあります。アイデアを出して終わりではなく、「本当に使われるのか」を確かめながら改善していく。学生たちはそのプロセスを、チームで駆け抜けました。
まずは、ノーコードツール「Click」を使ったアプリ開発講座で基礎を学びます。「つくれる」感覚をつかんだうえで、次のステップとなるチームでの開発へと進んでいきます。
講座で生まれたアイデアをもとに、各チームが開発をスタート。オンラインで社会人メンターとのメンタリング会を重ねながら、企画や設計を磨いていきました。
LINEヤフーコミュニケーションズからは、ITイノベーション部の社員3名が社会人メンターとして参画し、それぞれ1チームずつ担当。うち1名は2チームを兼任しました。
学生が考えたアプリやマーケティング施策について、「誰のどんな課題を解くのか」「利用者にとって分かりやすいか」「現場で運用できるか」といった視点から一緒に整理し、改善の方向性を探っていきました。
期間中には商店街でのフィールドワークも行い、自分たちが立てた課題仮説やアイデアが本当に現場に存在するのか、ほかに見落としているニーズはないかを確かめました。
利用者の反応を通じて、改善のヒントや新しい気づきを得られる貴重な機会となりました。「便利さ」や「伝わりやすさ」が現場でどのように受け取られるのか、学生たちは手応えと課題の両方を持ち帰り、最終発表に向けたブラッシュアップにつなげていきました。
約3か月間の取り組みを経て、各チームが考えた企画やアプリ案を発表する成果発表会が行われました。
審査には、福岡市創業・大学連携課をはじめ、商店街関係者、MikoSea代表取締役、LINEヤフーコミュニケーションズが参加し、それぞれの視点で提案を評価しました。
今回、LINEヤフーコミュニケーションズの社員が社会人メンターを担当した2チームが、複数の賞を受賞する結果となりました。いかしおチームがLINEヤフーコミュニケーションズ賞を、ラムネチームがClick賞を受賞しました。
コーポレートIT本部 本部長 海田(審査員)
「防災・安心安全」というテーマに着目し、他チームとは異なる課題に目を向けていた点が面白いと感じました。特に、ユーザーのモチベーションにつなげながらアプリとしての信頼度を高めていくというアプローチが、興味深かったです。こうした挑戦は、当社が日頃から大切にしている”安心・安全なサービス提供”とも親和性が高いと感じ、LINEヤフーコミュニケーションズ賞として選ばせていただきました。
成果発表会を終えた学生たちからは、メンターとのやりとりを通じて得た学びや、受賞の喜び、そして次の挑戦への意欲が語られました。
学生の挑戦に寄り添いながら、約3か月間にわたって社会人メンターとして伴走したLINEヤフーコミュニケーションズ。今回は、いかしおチームとラムネチームを担当した塩川に、プロジェクトへの関わり方や、学生と向き合う中で意識していたことを聞きました。
——なぜ「まち×デジプロジェクト」に参画しようと思ったんですか?
塩川:私たちITイノベーション部は、いわゆる「社内IT」の部署です。普段の仕事では、社外の方と直接関わる機会は多くありません。だからこそ、学生や地域の方と一緒に考える場に参加できること自体が、自分たちにとっても大きな学びになると感じました。
社内では当たり前のように使われているITの仕組みも、外の視点から見るとどう映るのか。自分たちが積み重ねてきた知識や考え方が、学生の役に立つのであれば、ぜひ関わりたい。そんな気持ちで参加しました。
——学生と関わる中で、意識していたことはなんですか?
塩川:意識していたのは、「答えを教えない」ことです。こちらが正解を出してしまうと、学生の思考が止まってしまう。なので、「誰に、何を届けたいのか」「それによって何が起きるのか」という軸がぶれないよう、考えを整理する手助けに徹していました。
アプリをつくること自体がゴールではなく、その先にどんな変化を生みたいのか。商店街という現場で確かめ、見直し、磨き直す——そのプロセスこそが、今回のプロジェクトの一番の価値だったと思います。
——今回の経験を、どのように活かしていきたいですか?
塩川:学生の頃に、社会人と一緒に考えたり、仕事の話をしたりする機会は、実はそれほど多くありません。今回のように、現場を舞台に一緒に悩み、試し、形にしていく経験は、この先、社会に出たときの土台になるはずです。
私自身も、学生と向き合う中で、自分たちの仕事の意味や価値を改めて考えるきっかけになりました。今回の経験を一過性のものにせず、これからも次世代の挑戦に寄り添う取り組みに関わっていけたらと思っています。
「まち×デジプロジェクト」への参画は、学生にとって、商店街というリアルな現場で課題を捉え、検証し、考え続ける実践の場となりました。そしてLINEヤフーコミュニケーションズにとっても、社会人メンターとして学生の挑戦に寄り添いながら伴走できたことは、次世代のチャレンジを支える意義を改めて実感する機会となりました。
今回の経験で得た気づきを社内にも共有しながら、LINEヤフーコミュニケーションズは今後も、次世代の挑戦に寄り添う取り組みに継続的に関わっていきます。