わたしたちの気づき—「特性」を「強み」に。凹凸を活かすチームづくり実践

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障がい者雇用の専門部署「運営インキュベーションパート」の発足から1年。LINEヤフーコミュニケーションズでは、採用から定着支援までの仕組みが整備され、組織全体に好影響が広がっています。実際の運用現場では、この取り組みはどのように受け止められ、機能しているのでしょうか。個人の「強み」を引き出し、チーム全体の成長や業務改善へとつなげるプロセスについて、障がい者雇用で入社して、コーポレート運営部で活躍中の大森未奈さんと、上司で同部長の中原勇喜さんに話を伺いました。

「特性」を「強み」ととらえる組織づくり

――まず、大森さんの入社経緯と現在のお仕事について教えてください。

大森:就労移行支援に通っていた際、身近に使っていたLINEのサービスに関わるこの会社を紹介され、面白そうだと感じて面接を希望しました。入社当初は購買業務の一部をメインに担当していましたが、現在はコーポレート業務を幅広く担当しています。 

最初の大森さんの写真

大森未奈
2024年6月 LINEヤフーコミュニケーションズ入社。
コーポレート運営部に配属され、購買業務を中心にコーポレート業務を幅広く担当。

――中原さんは、面接から大森さんをご覧になっていたそうですね。業務へのアサインにはどのような背景があったのでしょうか。

中原:面接でお会いしたのは、就労支援でさまざまな経験を積まれ、社会復帰を目指すタイミングでした。特性についてもお伺いしましたが、業務上の工夫で十分に力を発揮できると感じました。また、大森さんご本人が「なんでもチャレンジします」というスタンスでしたので「まずはいい社会復帰のスタートを切ってほしい」という思いで、できることはどんどんやってもらいながら、一緒に調整していく形で進めてきました。

中原さん

中原勇喜
2020年4月にLINEヤフーコミュニケーションズへ入社。
サービステスト本部に配属され、その後、リスクマネジメント部、システム運営部を経て、2025年4月にはコーポレート業務の受託を担う「コーポレート運営部」を立ち上げる。同年4月より、コーポレート運営部 部長を務める。

――大森さんの特性や強みが、業務の改善に貢献できたエピソードがあれば教えてください。

大森:自分の強みは「短時間で高い集中力を発揮できること」だと認識して、検収業務に直接貢献できていると思います。検収業務は多くの件数を迅速かつ正確に処理し続ける必要があります。だらだら作業するのではなく、「決まった時間にどれだけ多くの件数を処理できるか」という、生産性を最大化することを常に意識しています。

――ご自身の強みには、以前から気づいていらっしゃったのですか?

大森:そういう傾向があるな、とは思っていましたが、それを「強み」とまでは思っていませんでした。チームの振り返りミーティングで、生産性を数値化したデータを出してもらえるのですが、それを見て初めて気づかされました。

中原:私が感じる大森さんの強みは、体系的に物事を捉える力と、疑問点を「なんとなく」で済ませずに、納得できるところまで自ら理解を深めていく姿勢です。特性(集中力)+強み(業務理解)で質の高い経験が積み重なり効率がどんどん高まっていると感じています。事実、業務開始時点から比べると、大森さんの効率を示すグラフは右肩上がりに伸びています。当初はできる範囲でお願いしていた検収業務も、今やほぼ全てを大森さんが担当するまでになりました。業務量はチームリーダーがコントロールしていますが、大森さん自身も「もっとやれますよ」と声を上げてくれるので、件数も仕事の幅も自然と広がっていきましたね。

中原さんと大森さん

大森:数字で確認できるとやる気が出ますし、さらにチャレンジして達成できた時の喜びも大きいです。元々いろいろなことに興味を持ちやすいタイプなので、新しい業務でできることが増えるのも楽しいですね。

 

課題解決プロセスをチームで共創

――ここまで順調のようですが、苦労されたことはありませんか?

中原:実は、最初から完璧だったわけではなく、慣れないうちはミスをすることもありました。そこで2人で話し合い、原因を掘り下げていきました。見えてきた原因は主に2つ。1つは「業務の本質を理解できていない」こと。作業だけを覚えても、なぜそれが必要なのかという業務の本質がわからないとミスは起きてしまいます。そこで、大森さんは業務の全体感や流れ、何が重要かというポイントを自分で勉強したり、周りの人に聞いたりして、資料にまとめてくれたんですよ。しかも、それがすごくわかりやすい。結果的に新しく入ってくる人向けの研修資料として使われるようになりました。

真面目な表情の中原さん2

原因のもう1つは 「リモート勤務で聞きづらい」ことです。隣にいれば「ねえねえ」と聞けますが、リモートだとそれが難しい。チームメンバーと話し合い、みんなでZoomをつなぎっぱなしにしておく時間をつくって、気軽に聞ける環境をつくりました。

大森:これは今も続いていて、朝のミーティングから12時まで、オンラインでコミュニケーションを取っています。

――苦手なことを補うツールの活用事例などはありますか?

大森:私が効率よく情報収集できないことに悩んでいた時、チームの方が作業をやりやすくするExcelのツールをつくってくれたことがありました。大量の情報から目で見てピックアップしていた作業が自動化され、情報漏れが防げるようになりました。このツールも、元々は私用につくってくださったものですが、今では新しく入った人も含め、みんなで使うようになっています。

大森さん

組織への波及効果とマネジメントの気づき

――大森さんがチームに加わったことで、組織や業務に変化はありましたか?

中原:大森さんが自身の特性をチームに伝えてくれたことで、お互いを理解した上で業務のアサインやコミュニケーションができるようになりました。これは、多様な人が同じ目標に向かう「ダイバーシティなチームづくり」として、他のメンバーにとっても非常に良い経験になっています。

熱心に話す中原さn

また、先ほどのツールのように、各自の工夫がシェアされる「良い循環」が生まれました。今や特性など関係なく、チームの「頼れる一員」です。大森さんの成長が、そのままチーム力の向上や、新たな業務をどんどん引き受けることにつながっています。

そのほかにも、入社当時はなかった購買業務の全体像や、検収の判断基準がわかる資料を「あったら便利だよね」と大森さんが作ってくれて、それは委託元の担当者にも共有し、一緒に使ってもらっています。もはやチーム内だけでなく、業務フロー全体の効率や品質のアップにも貢献している状況です。


――大森さんが働くうえで、会社やチームからのサポートで役立っていることはありますか?

大森:定期的な面談の機会が多いことです。中原さんとは業務やチームについて、ジョブコーチの方とは体調面などについて、それぞれ月1回必ず1on1があり、困った時は随時相談できる環境がありがたいです。それに、チームのみなさんの理解も大きいです。「障がい者だから」ではなく「大森さん」として見てくれて、お互い助け合える関係性があります。

制度面では、通院などに使えるノーマライゼーション休暇(特別有給休暇)や、自宅の方が集中しやすい私にとってリモートワークの制度は非常に助かっています。

大森さんと中原さん

 個々の凹凸を活かし、組織をアップデートする未来へ 

――今回の取り組みの組織への影響について、中原さんはマネジメントの立場からどのように感じていますか?

中原:「表に見えていることが全てじゃない」ということを、より深く学びました。大森さんが「頑張ります」と言ってくれた裏で、実は無理をしていたこともあった。本質的なところを見ないといけないな、と。目の前の事象が特性によるものか、体調不良か、あるいは単なるスキル不足なのか確認する。ちゃんと見極められたら、成長をサポートできるし、それは特性に関係なく、マネジメントの基本だと思います。上司として私自身もレベルアップしていきたいと思っています。
また、障がい者採用と聞くと、何か大変だったり難しいイメージがあるかもしれませんが、私は実際に経験してみて、マネジメント観点では他のメンバーの皆さんと関わることと大きな違いはないのかなと思いました。
私も含め人には得意・不得意があったり、それぞれ性格や考え方の違いがあるのが当然だと思います。障害の有無にかかわらず、「その人を見る」ということが大事なのだと改めて気付かされました。
そういった部分も含めてなかなか見えにくいこの取り組みを、運営インキュベーションや広報の皆さんとも協力して発信していければ良いなと思っています。真面目な表情の中原さん

――最後に、大森さんの今後の展望をお聞かせください。

大森:誰にでも得意・不得意はあって、私はそれを凹凸だと思っています。会社や周囲の適切な配慮・サポートがあれば、突出した部分が強みになって組織に貢献できる。この学びは、どのチームでも応用できる普遍的なものだと思うんです。私は今、配慮をいただく側の当事者ですが、将来的には私と同じように障がい者雇用で働く人を「支える側」の業務にもチャレンジしてみたい。そして、組織全体がより良くアップデートされていくことに、貢献していきたいです。

展望を語る大森さん

 

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