愛とロジックで全社をアップデートする。プロジェクトマネジメントの鬼と称されるセンター長が考えること
【お知らせ】2023年10月1日にLINE Fukuoka株式会社からLINEヤフーコミュニケーションズ株式会社へ社名を変更しました。2023年9月30日以前の記事には旧社名で記載しています。
経営陣との対話をお送りするLeader’s talkシリーズ。
今回は、LINE Fukuokaの経営やサービス運営に関わる企画・設計・DX推進を担う「バリューマネジメントセンター」とブランディング・PR・採用でLINE Fukuokaの成長を牽引する「コーポレートグロースセンター」二つの組織でセンター長を務める古後さんです。
同僚から「プロジェクトマネジメントの鬼」とも称される古後さん。お話の中で、実績の裏側や飾らない人柄を知ることができました。
Leader’s profile
古後 良輔(こご りょうすけ)
LINE Fukuoka株式会社
バリューマネジメントセンター、コーポレートグロースセンター センター長
<略歴>
福岡県出身。
大学卒業後、エンジニアとしてキャリアをスタート。SIerに転職後、コンサルタント・プロジェクトマネージャーとして業務改革やシステム導入を行う。
2019年LINE Fukuoka入社。業務の改善や標準化・最適化を行う組織で室長を経験した後、2020年バリューマネジメントセンター センター長就任。2022年よりコーポレートグロースセンター センター長兼務。
古後さんは2019年8月LINE Fukuokaに入社されました。それから取り組んできたことを教えてください。
まず、LINE Fukuokaのサービス運営を担う組織に横断的に関わり、業務改善や標準化・最適化に携わりました。入社当時は、LINEが急速にサービスを拡大するのに伴い、組織が大きくなって課題が山積していました。そんな中、会社全体で価値の見える化に取り組んでいたので、各業務のビジョンやミッションの定義から、KPIの設定など、全体的に整理することが僕の主なミッションでした。
それまでもみんな頑張っていたものの、実績を定量で示すことができない状態で。生産性や稼働率、品質などの数字を取り、データ化したことで、現場での意思決定が可能になりました。また、データに基づいて課題を特定し深掘りして、効果的な手を打てるようにサポートしています。初めのうちはこちらで課題を見つけていましたが、最近は各組織で発見した課題を基に相談されることも増えました。
入社から3ヶ月で作成した実行計画書が、実際に古後さんが形にしてきたことのベースになっていると聞きました。入社から短い期間で、職種も領域もさまざまという特徴を持つLINE Fukuoka全社のことを知り、課題抽出から改善策を行うまでにどう動いたのでしょうか?
入社してすぐはひとつの組織を任されていました。誰かに頼まれたわけではなかったのですが、勝手に全社のハイレベル課題とそれに対する解決策を纏めCEOやセンター長に提案しました。生意気に思われるかもしれませんが、全社視点で捉えて考えることは前職のときからの癖のようなもので、特別なことではなかったです。
企業としての課題を見つけて改善策を考えるには、LINE Fukuokaの仕組みや流れを知らなくてはいけません。最初に任せてもらったValue Management室は、社内の業務改善・効率化を担う部署だったので、社内の業務について大枠での情報は得られました。でも、わからないこともまだまだありました。
当時、3つのセンターが合同で実施しているリーダー約100名を対象にした社内集会があり、企画・運営として携わらせてもらう機会があったんです。業務への理解を深めることや全社の流れを知る助けになりました。
他にも、センター長やLINE Fukuoka設立当時から働いている方に教えを乞うたり、現場で業務をしている方に直接話を聞いたり。いろいろな角度から情報を集めて、俯瞰でとらえながら深掘りしていった感じですかね。LINE Fukuokaに何があって、何が起きていて、何が問題なのか、事実を確認するために、直接見てひとと話す。「現地現物」は、行動の原点です。
多種多様な課題を解決していくためには、自己研鑽が欠かせないと思います。古後さんが最近、特に学んでいる分野はありますか?
いっぱいありますよ。新しい領域に関わるときはインプットするし、業務にリンクするかどうかにかかわらず、興味を持ったものはどんどん取り込むタイプなので。最近は量子コンピューターやマクロ経済にも関心があります。少し前は歴史がブームで、仕事につながる気づきもたくさんありました。
歴史を学ぶことも、仕事に役立つのですか?
勉強になりましたよ。変わっていくものと繰り返すもの、揺り戻し、人間関係やコミュニケーションの在り方など、物事を捉えるときの新たな視点が身につきました。
気になる話題を見つけるきっかけは?
ネットをよくチェックしますし、新聞を読み、図書館のヘビーユーザーでもあります。知らないことがあったら知りたいなと思う、好奇心旺盛なんです。知識だけじゃなくて、スポーツも1回はやってみたいタイプです。
仕事では、学習意欲や向上心のある人と一緒にやっていきたいと思っています。幸い今はまわりにそういう人が集まっている気がします。
実は、古後さんと一緒に働く人たちにヒアリングをしてきました。「本質を見抜くのが早い」「目の前の難しい課題をどんどん解いていっている」というコメントがありましたが、何かコツがあるのでしょうか?
10年以上前に「クリティカルシンキング」を学びました。すぐには身につかなかったけど、それからずっと意識して訓練していました。例えば、通勤電車から見える景色で何かお題を決めてそれを3つの要素で説明するには何を言えればいいか?とか。他にも打合せの前にはどんな内容になるか、参加者が発言しそうなことを予め論点を全部書き出しておくなど。それらを長く続けていたら、いちいち準備しなくても高速でできるようになりました。ただ、ビジネスはロジカルなだけではダメで、愛も大事なんです。
ロジカルと愛ですか。確かに「古後さんはロジックと愛のバランスがいい」「愛のある最強の課題解決屋さん」というコメントもありました。
もともと人に興味があって、みんながどんなことに関心を持っているのか、モチベーションの源泉は何かというようなことは、なるべく理解したいと思っています。仕事をしてもらうときにも、本人の思いに少しでも近づけるようなアサインや進行を心がけています。
古後さんが今みられている2つのセンターは別のフロアで少し離れたところにあります。行き来して、メンバーの一人ひとりとお話されている様子をよく見ます。
いやあ、寂しがり屋なんです(笑)。どちらも回って、できるだけ積極的に話しかけるようにしています。反対に、誰かが僕に話しかけてくれたら、自分の手をとめて、なるべく聞くように心がけています。
ヒアリングでは「古後さんはプロジェクトマネジメントの鬼」というコメントも出てきました。うまく進めるためのルールはありますか?
自分が関わるからには、絶対に成功させるつもりで取り組んでいます。そのためには、全体を俯瞰したり先読みしたりすることが大事。次はどんな展開になるかをずっと考えて、1回ゴールまでの道筋をつける。具体的な道筋が見えないプロジェクトは、必ずどこかでつまずきます。メンバーには「プロジェクトに必要なタスクを全て洗い出して、具体的な計画を立てて進めよう」と伝えています。
道筋を考えるときは、何かに書いたりするのですか?
秘密なんですけど…自分の中でスイッチを入れるために考える用のペンがあるんですよ。いろいろ試してたどり着いたのは、インクがぬらぬら出るドイツ製のペンです。そのペンを使うときはいいアイデアが出せると自分に暗示をかけて没頭することにしています。A3用紙にバーッと書いていきます。その後にパワポやエクセルでまとめたりしています。
古後さんはLINE Fukuokaで働く魅力をどのように感じていますか?
LINE Fukuokaではこれまでの経験を生かしつつ、全く異なる領域の仕事も任せてもらっています。そこに楽しさややりがいを感じています。業務や会社を良くするための提案なら、チャレンジさせてくれる会社でもあります。あとは、会社がどんどん変化していくので、変化を楽しめる人には向いていますね。
LINE Fukuokaでこれから挑戦したいこと、取り組みたいと考えていることはありますか?
LINEやグループのサービスを通じて、世の中を便利で楽しいものにしていくということには関わっていきたいです。
これからの大きな変化の中で成長していくためにも、LINE Fukuokaも変わっていかなければならない部分もあります。いまは会社に横断的に関われる立場でもあるので、しっかり会社、組織としてより良く進められるように先回りして対応していきたいと思っています。自分にとってはこれまで経験したことのない分野を担当することもあるかと思いますが、目の前の一つ一つの仕事に楽しみながら取り組み、それが回り回って良い方向につながるようにしたいと思っています。
LINE Fukuokaに限らず、今後の人生で取り組みたいと思っていることはありますか?
人生ですか、正直よくわかりませんね(笑)。
社会や地域に貢献する、人の役に立つ、人を笑顔に元気にするみたいな視座は理想的には思っています。しかし具体的にどう取り組むのかは色々と行動しつつもずっと模索していくのかもしれませんね。
いま思いつくのは、たとえば、どこか気に入った土地の古民家を見つけてそこを拠点にコミュニティを立ち上げるとか、もしくはキャンピングカーとかで歴史的名所をあちこち巡りながら働きつつ新たな仲間を増やしていくとかでしょうか。
最近は仕事も専門性を高めるべきだという意見もあります。もちろん関わる仕事に対してはそのつもりで奮闘して専門性を高めながら領域も増やしていく予定ですが、将来に渡って何十年もその1つの職種で固定化して職人みたいになろうという考えは持っていません。
現在も起業家やフリーランスの方と関わってみたり、全く違う分野のコミュニティに一人で飛び込んでみたり、ボランティアに参加してみたり、昔の知り合いに連絡取って会って新たな遊びや別の観点に触れたり、まだまだ実験的です。少なくとも今後の可能性は広がっている実感はあるので、何か好きなことや得意なことを見つけては進めてみて、そのうちまた刺激を受けて変えてみてって感じでこれからも前に進んでいくのかなあってところです。楽観的すぎますかね?