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「アクションするから、次のチャレンジができる」ー地方×観光客のコミュニケーションを変える。武雄市観光協会とLINEの挑戦

「アクションするから、次のチャレンジができる」ー地方×観光客のコミュニケーションを変える。武雄市観光協会とLINEの挑戦 サムネイル画像
全国初となるCCCとのコラボで話題を呼んだ「武雄市図書館」や、御船山楽園を舞台にしたアートイベント「チームラボ かみさまがすまう森」など、数々のチャレンジングな取り組みを行ってきた佐賀県・武雄市。
そんな武雄市の観光協会が、LINEを活用した新たな取り組みを始めたそう。
キーワードは 「情報を『届ける』」「回遊促進」「リピーター獲得」「まずはアクション」

仕掛け人は、武雄市観光協会の井上さんと、LINE Fukuoka Smart City戦略室の横尾。途中、予想外のアクシデントにぶち当たりながらも、最初のチャレンジをやり遂げた二人に、取り組みの全貌と舞台裏について伺いました。

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左:井上 祐次(いのうえ・ゆうじ)氏 武雄市観光協会 常務理事
武雄市図書館プロジェクトや前武雄市長の秘書などを経験した後、2019年4月より現職。

右:横尾 友博(よこお・ともひろ)Smart City戦略室 ビジネスプランナー
佐賀県出身。人材系ベンチャー企業/外資系保険会社での営業、デジタルマーケティングを扱うベンチャー企業での企画・営業などのキャリアを経て2018年12月より現職。波佐見陶器まつりへのLINE Pay導入「アイカサ」との協業等を担当。

Contents

 
Reason for challenge
「コンテンツはある。でも、どうやって情報を届けたらいいかわからない。」

井上さん:武雄市の観光においては、やはり福岡のお客様が重要なターゲットになります。
一方で、福岡のお客様にどう情報を届けるか、ということに頭を悩ませていました。
福岡の観光情報誌に掲載したり、最近だとFacebookやホームページ等でも発信していましたが、本当にそれが福岡の方に届いているのか、いまいち確信が持てなかった。そんなときに、横尾さんからご提案を頂きました。

横尾:武雄市の場合、観光コンテンツはすごく充実していますし、ホームページも頻度高く更新されている。ただ、せっかくいいものがあっても、知られなかったら無いのと一緒ですから、こうした情報をいかに届けるかが課題だと私も感じました。

井上さん:そうですね。興味を持ってホームページにアクセスしてくれた人には届くけど、まずそこまで行ってもらうことが難しい。
LINEは私たち自身も普段利用していますので、有効な手段であることは直感的にわかりました。

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First challenge
パンフレットに込めた熱量を、LINEできちんと「届ける」。

横尾:実際にやったことは大きく3つです。7月から9月末まで行われたイベント「武雄のあかりめぐり」をフックに、
①福岡のユーザーに対してLINE Pay公式アカウントからイベント告知を実施
②イベントの
LINE公式アカウントを作成
③観光協会加入店舗へのLINE Pay導入

を同時並行で行いました。①で福岡のユーザーにリーチし、来場前に②の公式アカウントと友だちになってもらう。また実際に来て頂いた方には③で決済頂き、決済をきっかけに②の公式アカウントと友だちになって頂く。そこから地域内での回遊や2度目3度目の来訪につなげる、という狙いです。

井上さん:福岡の皆様へのPRと同時に、我々としてはキャッシュレス化についても課題を感じていました。武雄にもインバウンドのお客様が増えています。また国内のお客様に対しても、キャッシュレス化を進めた方が利便性は増しますし、今後はキャッシュレスに取り組んでいるかどうかが信頼性に関わってくると思うんです。「今時キャッシュレスやってないの?」というふうに。
ただ、必要性を感じながらも、どこから手をつけて良いかわからなかった。本当に良いタイミングでご提案を頂きました。

横尾:LINE Payの場合、 決済をきっかけに、公式アカウントの友だちに追加される機能があります。
そこからお客様とコミュニケーションを取れるようになるので、キャッシュレス化とPR、2つの課題への打ち手としてご提案させて頂きました。

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横尾:制作した公式アカウントでは、あかりめぐりのMAPや、その他おすすめのスポット、アクセス情報などをLINEから簡単に見られる仕様にしました。
武雄の場合、現地で配布されているパンフレットには情報が充実していたのですが、本当は事前に見ながら「ここいいね」「ここ寄ろうよ」と会話できた方が良いよね、という話をしていましたね。

井上:そうでしたね。実際に公式アカウントの運用を開始すると、我々からの発信に対して、お客様の方からも質問や興味関心を発して頂ける。双方向のコミュニケーションが生まれています。

私たちだけでなく、観光情報の発信に関わる方々、熱のこもったパンフレットをつくってるところは多いと思うんです。 「何を載せるか」はものすごく考える一方、「いかに届けるか」や、「その情報にお客様が本当に興味を持ってくれるのか」の検討や検証が不足してしまう。
実際、観光者の方々が皆スマホを見ながら動いているのを目にしながらも、どうすればいいかわからず紙に集中し続けてしまう。それが今までの私たちでした。

横尾:御船山楽園のイベントは非常に集客力がありますが、そこだけで完結すると、例えば福岡の方の場合、夕方7時くらいに来て、9時には帰ってしまう。これはすごくもったいないと思いました。

例えばお昼も空いてるならランチしようよ、とか、夕方まで時間あるから焼き物体験しようよとか、2箇所3箇所とまわるところが増えれば、それだけ観光消費額が上がる。
元々コンテンツはあるから、知って頂くことで回遊を促せると思いました。

井上さん:そうですね。御船山楽園のチームラボとのコラボで火がついたけど、やはり私たちとしてはそこから回遊して頂きたい。LINEを活用することで、実際にお客様が何を見たか、何に興味を持ったのかなどがわかるので、今後のマーケティングにも活用していきたいですね。

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実際に制作したLINE公式アカウント。基本機能である「リッチメニュー」を活用し、情報へのアクセスを整理
 
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アカウント登録者のデータを見ながら、次のアクションを練っていきます

Turning point
豪雨で受けた風評被害。改めて感じた、情報発信の難しさ

連の施策を進めていた最中に、豪雨の被害がありました。
厳しい状況下で、イベントの機を逃さずアカウントを完成させて発信する、というところまでやり切るのは、かなり大変だったんじゃないでしょうか?

井上さん:そこはもう本当に、横尾さんのおかげ。
本来、我々が実施する予定だった部分のサポートを精力的にやってくださった。

横尾:私もリアルタイムで武雄の被害を見ていたので…。
ボランティアの方々が懸命に作業されている様子を見て、自分も何かできないだろうかと考えていました。
その時に、運良くこうしたご縁があったので。そこ(事務所)のデスクにしばらくいましたね。

井上さん:ありましたねえ。(笑)

横尾:作業をしていると、「旅館が80%キャンセル」とか横から聞こえてきて。本当に厳しい状況でしたね。

井上さん:手がまわらない、という物理的な問題もありますが、情報発信する上で表現が難しい時期、というのもありましたね。生活が通常に戻ってない方も多くいる中で、こちらだけ「元気です、大丈夫です」と果たして言っていいものかと。
ただ、風評被害もあり旅館などはかなり痛手を受けていた。復活したところから、「安心して来てください」という発信をやはりしていかないといけない。

横尾:ご相談した中で、最終的に「観光に来ること自体が復興支援になる」という意味合いのメッセージを送りましたね。やはりキャンセルが増えるほど、地域に落ちるお金が減って、そのぶん復興自体が遅くなってしまう。

井上さん:そうですね。観光についてはかなり厳しい状況が続きましたが、9月の終盤で動き出して、10月、11月と少しずつ持ち直してきました。
今回の災害を受けて、改めて情報発信の難しさを感じました。福岡の方ですら、武雄が復活してきた、という情報がなかなか届いていない。その中で、LINEから発信して頂いたことはありがたかったです。

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当時の様子を再現してもらいました。「出向者みたいになってましたね(笑)(井上さん)」

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実際にLINE Pay公式アカウントから配信したイベント告知
 

Back ground
市職員現役時代に叩き込まれた鉄則「アクションするから、次のチャレンジができる」

そういえば、井上さんはあの武雄市図書館のプロジェクトにも参画されていたんですよね。

井上さん:そうですね。今では武雄のシンボルのひとつになっていますが、実は記者発表から施設オープンまで1年しかなかったんですよね。

たった1年!あの規模で!

井上さん:私は当時担当課長だったのですが、これは大変なことになったなと思いました。(笑)
市長が「4月にオープンします」というので、てっきり再来年だと思ったら、来年だった!(笑)

5万人の都市にしては贅沢な図書館、という見方もありますし、CCCへの委託も全国初の試みでしたから、当時は賛否両論様々なご意見を頂きました。でも、将来を見越して、つくることを決断をした。

結果として、あの図書館ができて、福岡からのお客様をはじめたくさんの方に武雄に来ていただくことができました。
都会に出てた若い人たちも、正月など武雄に帰ってくるようになりました。周囲から「武雄出身なんだ、あの図書館すごいね!」と言われたようで、これは行っておかないと!となったようです。
あの頃は家族より関係者といる時間の方が長いくらいでしたが、やって良かったと思いました。

チャレンジ精神とスピード感が、なんというか、いい意味で「自治体らしくない」ですね…!

井上さん:やはり当時の市長の推進力が大きかったですね。

横尾:福岡市とも通ずるところがありそうですね。

井上さん:そうですね。前市長の下で働いて一番勉強になったのが、「まずはアクション」ということ。アクションを起こす前にもたもたしていると、しこたま叱られるんです。(笑)
「自分がアクションを起こすことで、次の展開が見える」とよく言われました。
逆に自分がアクションするタイミングが1分1秒遅れたことで、本来できたことができなくなる。
それ以来、自分の周囲にも「まずはアクション」と伝えるようにしていますね。

今回のアカウント作成の話にも、通ずるのかもしれませんね。
「一旦落ち着いてから」という選択もあった中、今このタイミングでやろう、となったのは、武雄の皆さんに「まずはアクション」という精神が根付いていたからなのかな、と思いました。

井上さん:そうですね。そうかもしれない。
でも本当に、僕らだけでなく、横尾さんがここまでしてくれるという助け船が出たからやれたんだと思います。

横尾:何もしなかったら武雄のあかりめぐりが上手くいかなかったかというと、そうじゃないと思う。問題なく終わったと思うんです。ただ、その中でも 公式アカウント開設っていうアクションをしたことで、今回約750人の友だちができた。結果、「この750人に対して何を発信するか」という次のチャレンジができる。

井上さん:そうですね。それと、情報発信って、けっこうモチベーションも大事だと思うんです。
LINEの場合、友だちが増えていくことがはげみになる。それは始めてみて実感したことです。
アクションしたことで、自分たちのモチベーションも上がっていきましたね。
 
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Next Challenge
観光情報の発信から特産品開発まで。観光アカウントを誰もが簡単につくれるように

井上さん:観光とLINE、すごく相性が良いと思います。それは使ってみて実感しました。他の観光協会の方にもおすすめしたいですね。

横尾:そうですね。今後は、武雄の取り組みをモデルケースとして、他の地域にもご提案できないかと思っています。我々も限られた人員で全ての地域に対してコミットしきるのは難しいので、誰でもつくれるよう型化できないかと。
特に人が集まる福岡から、近隣地域へ送客するモデルをつくれないかと考えています。武雄をその第一弾にしたいですね。

井上さん:将来的に、地元の産品を紹介したり、アカウント上から購入頂けるような仕組みもできたらいいですね。観光案内だけでなく、特産品開発などにもつながっていけばなと。

横尾:そうですね。例えば今イベントをやっている クリスマスツリー灯ろうとかも、2つ方向性があると良いかなと思ってます。
ひとつが、こうした商品をフックに、「気になる方はいらしてください。いらっしゃるなら温泉も食事も、この商品を自分たちでつくれる場所もあります」とご案内する訪問・滞在型。
一方、訪問頂くことが難しい方に対しては、オンラインでも購入できる仕組みを。一度訪問頂いた方が家に飾っているのをまわりの方が見て、「これいいね!」「オンラインでも買えるよ」と広がっていくこともあり得ると思う。そうなると、消費も増えるし、さらに武雄に対する愛着も増していくと思うんです。

井上さん:観光協会でそうしたアカウント活用ができると、地域のお店や旅館が観光協会に入るメリットにもなりますね。

横尾:今約750人いる友だちは、武雄に一定の好感を持ってる方の集まりですからね。
それを既に抱えている、というのは観光協会の財産にもなりますね。

井上さん:今後はこの約750人といかにコミュニケーションをとるかですね。
2020年度の新幹線開業にむけて、情報発信の方法をこれから色々と見直したいと考えています。
今後もぜひ、色々と一緒に考えて頂けたらありがたいです。

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このプロジェクトを担当するにあたって、チームメンバーから「たけおさん」と呼ばれるほどに武雄に通い詰めた横尾。井上さんとの、まるで同僚のような親しい距離感が印象的でした。

Enjoy the challenge.
LINE Fukuokaはチャレンジする人を応援します。ふたりの次の挑戦を、楽しみにしています!
 
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