半数以上が外国籍メンバー!アンケートで紐解く、翻訳者・ローカライザーの日本語力
【お知らせ】2023年10月1日にLINE Fukuoka株式会社からLINEヤフーコミュニケーションズ株式会社へ社名を変更しました。2023年9月30日以前の記事には旧社名で記載しています。
こんにちは!Localization室の篠原です。
Localization室(以下LOC室)ではLINE サービスに関連する翻訳、ローカライズ、翻訳監修の業務を行っています。
私は今からちょうど1年前の2020年12月に入社し、ローカライザーとして韓国語⇔日本語を担当しています。ローカライズについては、 こちらの記事でも紹介しています。
LOC室は、メンバーの半数以上が外国籍というグローバルな組織です。
業務中のコミュニケーションは基本的に全て社内チャットツール上で行われます。依頼発生から納品まで、仕様の詳細や用語についての質問も、テキスト(日本語)でやり取りします。
質問の際に「何が分からないのか」「どのように対応してほしいのか」を的確に伝えることは日本語ネイティブの私でも難しいのですが、母国語を問わずメンバーの日本語はどれも分かりやすく丁寧で、入社当初はメンバーのやりとりをよく参考にしていました。
どうして、こんなに日本語が上手なのだろうか?
今回は私のこの疑問をLINE Fukuoka Pressの場を借りて解明したいと思います。
「LOCメンバーの5大秘密に迫る!」と題して、LOC室の日本語ノンネイティブメンバーたちの日本語能力の秘密を探ります!
今、語学学習をされている方の参考にもなるかも?
目次
5. YOUはどうして福岡へ?
1. 〇%が日本語能力試験の最高レベルを所持!
まず初めに気になるメンバーの日本語能力を調査してみました。
日本語能力試験(JLPT)のレベルは何ですか?
日本語学習を始めて何年になりますか?
翻訳・ローカライズの仕事を始めて何年になりますか?
なんと!90%以上のメンバーが日本語能力試験:JLPT(Japanese-Language Proficiency Test)の最高レベルN1に合格しており、60%以上が日本語学習歴15年以上。
また、翻訳歴も40%が5年以上、27%が10年以上と、日本語の実力・翻訳経験ともに豊富であることがわかりました。
ここでN1レベルの実際の試験例題に挑戦!
答えは1番です。
皆さん正解できましたか?
N1合格には、日本人でも迷ってしまうような微妙なニュアンスの理解や約2000文字の漢字を覚える必要があるとも言われており、合格率も30%程度だそうです。
LOCメンバーの実力をより感じていただけたでしょうか?
2. 日本語を始めたきっかけは?
日本語を学び始めたきっかけは何ですか?
1位はアニメ・漫画。日本の作品が海外のテレビで放映されることも多く、日本語を身近に感じるきっかけになったようです。
音楽、ゲームを含め上位3つには“音声の日本語”に触れられるという共通点があり、「日本語の独特の柔らかく流れる歌のようなイントネーションで日本語が好きになった」という回答もありました。
また、「好きなアニメの劇場版のビデオを手にして、わくわくしながら見ようとしたら字幕がなくて、日本語を勉強するしかないと決意した」「非公式のめちゃくちゃな翻訳や、クオリティの低い吹き替え版のアニメに対する不満があり、あまりに悔しくて、原作で読んでやろう・観てやろうと思って勉強しはじめた」などの情熱溢れる回答も。分かりやすい翻訳を届けるために奮闘するメンバーらしさが感じられて印象的でした。
3. 最多で〇か国語を操る?~マルチリンガルの勉強法~
メンバーの言語能力は日本語だけにとどまっていないのでは?と思い、こんな質問もしてみました。
何ヶ国語を話せますか?
何ヶ国語を話せますか?
「3か国語」の回答が最も多かったですが、27%以上は4・5か国語を操るマルチリンガル!
5か国語を話すメンバーに話を聞いてみると、夢の中や寝言でも複数言語を混ぜて話すことがあるのだそう。
そんなメンバーたちが、どのようにして語学を習得したのか、学習のヒントを教えてもらいました!
生きた教材で勉強するべし!
おすすめの勉強法は、
・ニュースやバラエティ、ドラマなどのテレビ番組
・好きな曲やラジオ
・読書、ゲーム
など、教科書ではない身近なコンテンツで学習すること。
意味が分からなくても、とにかく、常に、ひたすら言語に触れることが大切で、そのなかで分からない単語や文法を調べて勉強すると、記憶に残りやすいそうです。母国語で内容を理解したものを日本語版でもう一度見るのもおすすめだとか。
また、ゲームは自分のペースでストーリーを進めることができ、文字と映像を一緒に確認できるため理解しやすいという回答も。LINE Fukuokaで翻訳を担当しているLINEゲームでも言語設定を変えるだけで様々な言語に触れることができます。母国語でのプレイに慣れた方は、かわいいLINE FRIENDSのキャラクターたちと一緒に他の言語に挑戦してみては?
アウトプットするべし!
勉強した内容は、スピーキング、ライティング、シャドーイング、友達との会話などで“実際に使ってみる“ことが大切!
アウトプットしながら間違い⇄訂正を繰り返すことで言語が身に着いていきます。
間違いこそが成長のチャンス。間違いを恐れず、プライドを捨てて、どんどん実践しましょう!
中には「自分の声を録音して改善点を見つける」というメンバーもいましたが、好きな曲の歌詞やアニメのセリフをそのままマネするだけでも役立つそうなので、みなさんもぜひトライしてみてください!
楽しむべし!
最後はずばり、楽しむこと!
どうしても勉強=苦痛と思ってしまいがちですが、言語学習のいいところは①にもあったように好きなコンテンツや興味のある分野を通して勉強できること。好きなものを理解したいという思いをやる気につなげて、楽しんで学ぶことが一番です。
楽しむことは、継続することにもつながっていきます。“言語は生きている”という表現もよく使われますが、終わりのない言語学習を“継続”していくためにも楽しむ気持ちを忘れないようにしたいですね。
メンバーは今でも日本語学習を続けているのでしょうか?
日本語学習は今でも続けていますか?
日本語学習は今でも続けていますか?
60%以上が、日本語または他の言語の学習を続けているようです。「その他」の回答の中にも、翻訳の仕事をすること、日本での生活が勉強になっている、毎日が学びだという声が多く聞かれました。
「発音改善のために朗読口座に通っている」「言語のトレンドを把握するためにオンラインコースを受講している」「日本文学における表現力・感受性を身に着けるために小説を読んでいる」など、ローカライザーとして活躍する今でも更なる高みを目指す姿が見られました。
4. 初めて覚えた日本語は「○ ○ をください?」
ネイティブ並みの日本語力をもつメンバーたちが、初めて覚えた日本語は何だったのでしょうか?
昔のことで忘れてしまったという方も多かったですが、ほとんどの回答は「こんにちは、何?、かわいい、おいしい」などの簡単なフレーズでした。
高校の日本語の授業で「レモンドロップをください」を初めて覚えたという回答もあり、なぜこんな文章?とも思いましたが、これはハリーポッターに出てくる表現でよく使われる例文なんだとか。
中には自国(インドネシア)のわらべ歌に「Sayonara, sayonara, sampai berjumpa pula」(訳:さようなら、さようなら、また会いましょう)という歌詞があり、そこで「さようなら」を覚えて子供の頃よく歌っていたという回答も。(とても可愛い歌でした。)
幼い頃から自然と日本語に触れていたというメンバーが多いことも驚きでした。
では、最近覚えた日本語は何でしょうか?
奪取する、猫又、最上作、品行方正、投資信託、みかじめ、温床、僥倖、顔色を失う、紋切型、九十九神、牧歌的、口が奢る、Old Boy(和製英語)、凋落 など
格段とレベルが上がっていますね。マニアックな単語も多いですが、やはり日本語を使って何かを学んだり、楽しんだりしながら日常のなかで新しい日本語を習得しているようです。
5. YOUは何しに福岡へ?
最後にこんな質問もしてみました。
福岡に来たきっかけは何ですか?
福岡に来たきっかけは何ですか?
なんと80%以上のメンバーはLINE Fukuokaへの就職がきっかけで福岡に来たそうで、「旅行で来たときに福岡の雰囲気がよくてここで暮らしたいと思った」「LINEやITに興味があった」「ツムツムのファンでそのローカライズがしたかった」などの理由で入社を決めたそうです。
中には“日本で生活/就職してみたい”という夢をLINE Fukuokaで叶えたというメンバーもいて、言語は自分の世界や挑戦の場を広げるきっかけや手段にもなるのだと感じました。
日本語を学び、さまざまな国から集まったLOCで働くメンバーの語学力の秘密を探ってきましたが、いかがだったでしょうか?
メンバーの日本語力の秘訣は、何よりも日本や日本のコンテンツに対する熱い思い、そして現状に満足せず、習得した日本語を生かして更に知識を広げていく貪欲な姿勢だと感じました。
LOC室は、翻訳を通じて世界のユーザーとLINEサービスをつなげる「言語と文化の壁を越える架け橋」となるため、これからも努力を続けていきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。