一休・ZOZOTOWN・Yahoo! JAPAN・LINE──文化の異なる4サービスのCS担当者が「CSの未来」を本音で語り合ってみた〜グループCS事例共有会「Palette」開催直前スペシャル座談会〜
LINEヤフーグループの6サービス(ASKUL、一休、ZOZOTOWN、PayPay、Yahoo! JAPAN、LINE)のカスタマーサポート(CS)が集結し、グループ全体の成長を目指して知見を共有し合う社内イベント「Palette」。年に一度、各社が持つ効率化の取り組みやノウハウを共有し、業務アップデートのヒントを得る貴重な機会です。
今回は2月19日の開催に先駆け、グループを代表する4サービスのCSキーマンによるスペシャル座談会を実施。「宿泊予約」「ファッション」「コミュニケーションアプリ」「社会インフラ」──。扱う商材もカルチャーも全く異なる4サービスのCSが、普段は交わることない意外な共通点と驚きの違いを語り合いました。
「同じCSでもここまで違う?」4サービスのCS業務と特徴に迫る
──一口に「CS」と言っても、役割は全く異なるはずです。まずは各社のCS組織の特徴を教えていただけますか?
甲斐(LINE):私たちの最大の特徴は「対応範囲の広さ」と「グローバル基準」です。
LINEはもちろん、LINE GAMEやLINE MUSIC、金融サービスまで担当サービスは20以上に上ります。また、海外拠点とも連携し、「世界のカスタマーケアの対応基準」を作っているという自負があります。
高田(LINE):もう一つの特徴は、現場を横断的に支える「DX専門の部隊」がいることです。 私が所属する「運営DX部」では、現場ツールの改善や生成AIの導入支援など、テクニカルな面から甲斐さんたちのパフォーマンスを最大化するサポートを行っています。
小嶌(一休):一休のCS部は、コールセンターの運営だけでなく、社内の営業や経理からの相談窓口、不正利用のリスク管理まで広く担っています。加えてサービスを利用されるお客様のみでなく、商品を提供いただいているホテルやレストランのサポートも行っています。サービス品質の「最後の砦」として、なんでもやるのが一休のCSらしさです。
また、よく驚かれるのがより良いお客様対応を実現するため、CS部で利用するシステムの一部を自分たちで改善・運用している点です。外部委託先や社内エンジニアにお願いする選択肢だけではなく、お客様の声を一番聴いているCS部自らCRMシステムの機能追加や改良などを実行しています。
今野(ZOZO):ZOZOは、オペレーターが全員「直雇用」のスタッフであることが最大の特徴です。ユーザ層に近い20〜30代のスタッフが中心なので、ファッションのトレンドや感性を共有できているのが強みです。メインとなる「返品・交換」のお問い合わせでは、お客様の事情に合わせて対応を細かく分岐させ、一人ひとりの気持ちに寄り添うことを大切にしています。
原田(Yahoo! JAPAN):主に「Yahoo!ウォレット」などの決済周りを担当しています。お金に関わるため、時には生活に直結するシビアな内容に対応することもあります。
また、Yahoo! JAPANでは数多くのサービスがあり、複数サービスを横断した対応が求められる場合も…。そのため、高い専門知識を持って案内する必要があります。
「マニュアル」を超える瞬間。各社が感じるCSの「やりがい」
──現場で感じる「面白さ」や「やりがい」について教えてください。
今野(ZOZO):私は「ZOZO活」ですね。マニュアルやナレッジを土台としながらも、それだけでは解決が難しいケースに対し、状況を整理し、「どうすればお客様にとって最善か」を考える取り組みです。
数千件のナレッジでもカバーしきれないお客様固有の事情に対しては、オペレーターやスーパーバイザーが主体的に考え、必要に応じて連携しながら、組織として判断・実行できることが、スタッフにとっての大きなやりがいにつながっています。
原田(Yahoo! JAPAN):驚きました!Yahoo! JAPANは多くのサービスを横断的に管理しているため、「現場判断で自由に」というのは難しい場面もあります。どこまで自由度があるのか気になります!
今野(ZOZO):決して自由に判断しているわけではなく、マニュアルや判断基準を前提に、お客様の課題解決につながる内容であれば、チームや上長と連携しながら前向きに検討する、というスタンスです。「それがお客様との信頼につながるのであれば後押しする」という考え方が、社内に根付いています
小嶌(一休):「自分で判断して解決する」という点では、一休も似ています。お祝いや記念日など大切な日・特別な日にご利用いただくお客様も多いので、トラブルがあった時は誠実かつ迅速な対応が求められます。緊張感がある一方で、トラブルが無事に解決し感謝の言葉をいただけたときの達成感はとても大きいです。
甲斐(LINE): 私たちのやりがいで言うと、やはり「幅広さ」ですね。ゲーム、音楽、金融と、全く異なる業界のCSを一社で経験できる。業界ごとの「お作法」の違いを肌で感じられるのは、飽きないポイントです。 
華やかなことばかりではない。プロたちが直面する「難しさ」と「葛藤」
──やりがいの裏にある、各社特有の悩みや「壁」について教えてください。
小嶌(一休):一番難しいのは「制御困難な外部要因」ですね。例えば「一休.com海外」での対応です。一休は海外のホテル予約サービス「一休.com海外」をパートナー企業と共に運営しています。運営上、パートナー企業や海外ホテルに確認することも多く、言語の壁であったり、商習慣の違いによりこちらの求める対応を行っていただけないことがあります。そのような時には、どうすれば一休が求める対応水準に近づけることができるか、といった点に難しさを感じることがあります。
甲斐(LINE): 私たちは、サービスが多く開発スピードが速いので、仕様変更やツールのアップデートが頻繁に起こります。「やっと覚えた!」と思った機能が翌月には無くなることも日常茶飯事。常にベストな機能を提供するための「作っては壊し」のサイクルが速いので、情報のキャッチアップだけで一苦労です。
原田(Yahoo! JAPAN):分かります…。Yahoo! JAPANも歴史が長い分属人化しているケースもあります。
加えて、看板の大きさゆえにお客様からの期待値が高いと感じています。良い意味でのプレッシャーを常に感じてお客様対応をしています。
今野(ZOZO):期待値との戦いは私たちもあります。
さらにZOZOで言うと、「生産性」と「応対品質」の両立が永遠のテーマです。早く返すだけならテンプレートを使えばいい。でも、それだと心には響かない。一人ひとりに寄り添った文章を書こうとすれば時間はかかる。このジレンマの中でいかにバランスを取るか。最近は、この品質チェックにAIを活用し始めています。
AIは「ライバル」か「相棒」か?CSの未来と技術活用
──今、話題に出ましたが、AI時代のCSについてどう捉えていますか?
今野(ZOZO): ZOZOでは、これまでスーパーバイザーが目視で行っていた回答チェックにAIを導入しました。あらかじめ定義した「ZOZOらしさ」の基準にもとづき、チェックや模範解答の作成をAIで補助することで、スーパーバイザー個人の感覚によるブレをなくし、納得感を高めることができました。
チャットボットでの自動化も進めていますが、「ZOZO活」のような人の温かみが必要な部分と、AIで効率化する部分の棲み分けを進めています。
小嶌(一休):進んでいますね!一休では、どんなことができるか、はまだ模索中ですが、難しいと感じているのは、過去のお客様対応で培われてきた「暗黙知」を、どうAIに学習させ、私たちの求めるお客様対応を実現するかです。またその言語化やAIの教育には、どうしても現場の工数が必要になるため、AIによる効率化と現場の負荷のバランスも考えなければいけない点です。
高田(LINE):LINEチームとしても、生成AIの活用は大きなテーマです。
私の部署では、現場への提案やプロンプト作成によるナレッジ共有を行っています。小嶌さんさんのおっしゃる通り「学習」のコストはかかりますが、効率化によって生まれた「余白の時間」をどう使うかが次の課題です。その余白を、人間にしかできない「創造的なサポート」に充てるのか、さらなる効率化に充てるのか。グループ全体で議論していきたいですね。
原田(Yahoo! JAPAN):そうですね。私たちも生成AI導入が進んでおり、今までの対応スタイルを大きく変える転換期だと感じています。新しい環境に対して、各チームが柔軟に適応しようと前に進んでいる最中です。
CS組織のカルチャーを「漢字一文字」で表すと?
──最後に、それぞれのCS組織のカルチャーを「漢字一文字」で表してください。
甲斐(LINE):【支】。私たちはユーザーの「支え」であり、事業の「支え」でもあります。また、部署内でも困っているメンバーがいればすぐに察知してサポートし合う。「支え合い」の精神が自然と根付いているチームです。
今野(ZOZO):【想】。お客様一人ひとりの気持ちを「想」い、背景を想像し、寄り添うことを大切にしています。マニュアルや基準を大切にしながらも、「想像力」と「創造力」を活かして、お客様にとって最善の対応を考える文化です。
小嶌(一休):【築】。理由は二つあります。一つはお客様やパートナーとの信頼を「築く」こと。もう一つは、自分たちの手でシステムや仕組みを「築く」こと。少数精鋭ですが、自分たちで作り上げていく文化が根付いています。
原田(Yahoo! JAPAN):【柔】。「柔軟性」の柔です。長い歴史の中で会社の形態もサービスも変化してきましたが、その変化に合わせて柔軟に対応してきました。今まさにAIという新しい波が来ていますが、それに対しても柔らかく対応し、進化し続けています。
──「想」「築」「支」「柔」。 選んだ漢字は見事にバラバラでしたが、根底にある「誰かのために」という熱量は驚くほど共通していましたね。今日の座談会を通じて、改めていかがでしたか?
原田(Yahoo! JAPAN):すごく刺激を受けました。こうして他社の方のお話を聞くと「あ、その悩みは同じだ」「その解決策があったか!」という発見の連続でした。手法は違っても、目指している頂上は同じなんだなと実感しました。
甲斐(LINE):本当にそうですね。文化が違うからこそ、交わることで生まれる「化学反応」があるなと。やっぱり、こうやって知見を交換し合う場って大事ですね。「Palette」はまさにそういう場なんだと、今日改めて思いました。
今野(ZOZO):これっきりじゃなくて、もっと交流していきたいですね! お互いの良いところを盗み合って(笑)、グループ全体のCSレベルを上げていけたら最高だなと思います。
ツールや手法は違っても、「お客様の心に寄り添う体験」を守り抜くプロフェッショナルたちの想いは一つでした。今回の座談会のように、異なる個性が出会い、互いに学び合うことで、LINEヤフーグループのCSはもっと強く、もっと面白くなれるはずです。だからこそ私たちは、これからも交流し続けていきます。
グループ社員の皆さん、まずは年に一度の祭典「Palette」に参加して、この熱量を肌で感じてみてください。そこには必ず、明日の業務を変えるヒントがあります。
そして社外の皆さん、もし私たちが大切にする「共に高め合うカルチャー」に共感していただけたら、ぜひ未来の仲間としてお会いしましょう。 AI時代だからこそ、人の繋がりと対話が、サービスを強くすると信じています。