みんなで学び、みんなでつくる。社員のための学び合いプロジェクト「コムキャン」企画者が語る思いとは?
2024年春スタートした、LINEヤフーコミュニケーションズの社員向け研修プロジェクト「LINEヤフーコミュニケーションズ-Camp(愛称:コムキャン)」。
「ボトムアップ型」をコンセプトに、社員みんなでつくることにこだわって企画されたもので、最近の開催分でも、参加者の他者への推奨意向(NPS)の推奨層(9か10点をつけた層)が70%を超えるなど、社内浸透に向けた好スタートをきりました。
仕掛け人は人事部People Designチームの福岡里美さん。
2023年8月に採用部門から人材育成部門へ異動し、現在はメンバーレイヤーに向けた育成の仕組みづくりを担っています。「コムキャン」で実現したい LINEヤフーコミュニケーションズの人材育成のかたちについて聞きました。
People Designチーム
福岡里美 Satomi Fukuoka
アパレル企業での店舗マネジメントや、人材紹介会社でのエージェントを経て2022年にLINEヤフーコミュニケーションズに入社。採用部門にて1年経験を積んだのち、人材育成部門に異動。現在は人材育成に関わっている。プライベートは浅く、広く、多趣味。コレクション癖があり、御朱印、旧札、香水など何かと集めがち。
学習風土の醸成や自律学習の促進を目的とした研修プロジェクト
ー 「コムキャン」とはどのようなプロジェクトなんでしょうか?
福岡:LINEヤフーコミュニケーションズ全社の学習風土の醸成や、自律学習の促進を目的とした、メンバー層がメインターゲットの研修プロジェクトです。LINEヤフーコミュニケーションズの誕生をきっかけに、既存の社内研修プログラムを、より社員のニーズに寄り添うかたちでリニューアルしました。
特徴としては、
・全社員アンケートで研修テーマを決定すること
・原則、社内講師を活用すること
・参加希望者が自由に受講できるオープンな場であること
があげられます。
社内向けの説明資料です
― テーマ設定から社員のニーズを反映させた研修プロジェクトなんですね。徹底的なユーザーファーストの姿勢を感じます。
福岡:はい。「みんなでつくっていく」ことを強く意識しています。
講師は原則、社員
社内講師を活用する理由は、大きく2点あります。1つは、LINEヤフーコミュニケーションズの特性として、異業種からの転職率が79%を占めており、さまざまな経験とナレッジのある社員が集まっているという点。
もう1つは、社内講師であれば社内事情へ理解があるため、受講者にとって聞きなじみのあるワードが使われ、内容がスッと入りやすくなる点です。
同じ会社の社員が講師をしていることで、距離の縮まりや社内のシナジーにもつながる場になれば嬉しいです。
プロジェクト名も社員投票
プロジェクトの名前は社員に考えてもらうのが一番だろう!と思い、投票形式で決定しています。
▼「コムキャン」の名前の由来
・LINEヤフーコミュニケーションズの社員と一緒につくるプロジェクトとすべく、社名を追加
・「集う」「交流する」のコンセプトより、人が集まり協働するイメージから【Camp】
・繋がりを楽しみながら、学びの場をもつことをイメージし、命名。
研修テーマや研修形式もアンケートで決定
研修テーマは、まず人事部が市場トレンドや社内外の環境変化を含む現状分析を実施し、
人材育成に必要な研修テーマをピックアップ。
社員に投票してもらいました。
「モチベーションマネジメント、自己認識力」「データ分析/活用」などのテーマが上位に選ばれ、
これをもとに、すでに「ギャラップ認定のストレングスコーチ(※)による対話型コーチングセッション」、「データビジュアライゼーション研修」などが実現しています。
研修形式も、ワークショップ形式かセミナー形式か、オンラインかオフラインか、など細かいところまでアンケートをとりました。おかげで、どんな研修スタイルにニーズがあり、うちの社員にあっているのか、リアルな声を知るとても良いきっかけになりました。
コムキャンは、社員の「やりたい」を集めて実現できる場にできるといいなと思っています。
※ 「クリフトンストレングス(開発 米国ギャラップ社 )」を使ったコーチングが可能な認定コーチ。公式のコーチングカリキュラムを修了している。
ギャラップ認定ストレングスコーチでもあるメンバーが講師をつとめる対話コーチングセッションの様子。
「コムキャン」の企画第1弾として実施されました。
初回プログラムの様子や成果
ー 「コムキャン」をスタートしてみて感触はいかがでしょうか?
福岡:「コムキャン」では初となるセミナー型研修「データービジュアライゼーション研修」では、他人におすすめする意向を測る指標(NPS)の推奨層(9か10点をつけた層)の割合が全体の約70%に達しました。
これは、前身の研修プロジェクトの平均スコアを上回る結果で、アンケートもポジティブな意見が多く、大変好評でした。
研修への参加はもちろん、各アンケートへの回答や講師への立候補などなど。
社員みんなの協力のおかげで「コムキャン」が社員の役に立ちはじめたことを実感し、とても嬉しく感謝しています。
▼事後アンケートのコメント抜粋
・ワーク時間がメインなので、飽きることなく研修に参加できました
・初心者でもひとつひとつの手順を細かく教えてくれるのでスムーズに理解できました
・集計や計測は業務でよく行う作業なので、IFの複数条件の関数は実務で活用できました
・学んだショートカットを活かし、業務の時短・工数短縮に活かせそうです
・関数のトラブルが起きたとき、今回学んだVLOOKUP関数で冷静に対応できそうです
採用から人材開発へキャリアチェンジ
― 福岡さんは2023年の8月に採用から人材開発部門へ移動していますよね。人材育成の領域は、はじめての経験だったのでしょうか?
福岡:はじめてでした。人材開発では今回の研修プロジェクトのように、企画の業務が多いんです。企画業務の経験もほぼゼロでしたので、悩みましたし、今も日々悩み中です!
企画から運営までのフロー、要件定義、提案・分析の仕方、フレームワーク、効果検証やレビュー……たくさん学ぶことがあるんです。
社内の現状やニーズを把握するうえで、さまざまな部署にヒアリングもしました。今でも困っていることがあったら、採用時代にお世話になった上司や同僚、一緒にお仕事をさせていただいた部署の方々に相談に乗ってもらっています。
― 採用にいたからこその人脈をフルに活かしているんですね!人材育成へキャリアチェンジをした理由はなんだったのでしょうか?
福岡:もともと人事領域について、より幅広くかつ専門的に理解したいと考えていて、人材育成という新しい分野にチャレンジすることは自身にとっても学びになると思いました。
以前アパレル企業で店舗マネジメントを担当していた際に、店頭に立っているスタッフがいきいきと働けている状態が、顧客満足度に直結していることを実感したことが人事領域へ興味をもったきっかけです。
その経験により、社員の働きやすい環境をつくることで、人の側面から会社の成長へ貢献したいと考え、採用部門で勤務していました。そんな折に、育成部門への異動の内示があったんです!
採用、人材育成と、自分が成長したいと思っている分野で経験を積ませてもらえていることに感謝しています。
メンバー層をターゲットとしたプロジェクトを設計し、社内外の環境を比較分析していく中で、そもそもどういう人が社で求められているのか、市場でも通用する人材はいったいどんな人なのか、フラットに考えてみるところからはじめました!と話す福岡さん
社員主体の学びあいコミュニティとなることを目指して
― 今後の展望を教えてください。
福岡:人事として経営や会社のニーズに寄り添う研修に限らず、本プロジェクトのような、より社員の皆さんがやりたい、必要だと感じるボトムアップ型の研修も実施することで、社員の皆さんの主体的な学びや部署間のナレッジ共有、交流を通じたシナジー創出につながるのではないかと考えています。
人事部としては、「コムキャン」が社員主体の学びあいコミュニティとなることを目指しているので、今後の継続性と発展性も重要です。今は立ち上がりのため我々がリードしていますが、将来的には社員が自らナレッジを持ち込んだり、学びたいものを共有しあえたりできたら最高です!
「コムキャン」が社員同士の交流やチャレンジの場として根付き、「学びたい」「講師にチャレンジしたい」「色んな話を聞いて成長したい」、そんな声が社内で飛び交うようなプロジェクトになったら最高ですね。
社員には気軽に、でも積極的な気持ちで参加してもらい、これからもいっしょにこのプロジェクトを育ててもらいたいです。
まもなく今年度第3弾の研修がスタートします。テーマは「問題の発見と課題解決」。
これまでと同様、社員からの投票で上位だったテーマをもとに研修を設計しています。
今回は社員が講師をつとめ、はじめての方でもチャレンジできる問題解決のフレームワークを全2回のカリキュラムで学べるワークショップ形式の研修を予定しています。多くの社員に参加してほしいですね。
※上限人数がありますのでご注意ください