CEO視点でアドバイスしてくれるAIも!業務のアップデートを助けるカスタムAI事例を公開
仕事をしていると、ふと思うことはありませんか?
「この企画に、リーダーならどんなアドバイスをするかな?」
「デザイナーなら、この資料のどこを修正するかな?」
2023年から全社に生成AIツールを導入した当社では、部署や個人に分散しがちな知見や専門性を、カスタムAIとして共有する動きが広がっています。コンプライアンスの論点整理やデザイン改善点の言語化を担う“相談役”や、社長・リーダーの視座で思考を広げてくれる“壁打ち相手”も登場しました。
この記事では、仕事の質を一段上げるパートナーとして活躍するカスタムAI「AIワークレンジャー」をご紹介します。
※AIの回答は論点整理のたたき台で、最終判断は人が行います。個人情報・機密情報は入力しない運用です。
専門家の「判断軸」を再現する
判断が難しい領域ほど、必要情報と注意点が整理されるだけで心強いものです。ここでは、専門家の判断軸を反映したレンジャーAIをご紹介します。
「グレーゾーンが多い派遣法の頼れる相談役」レンジャー
AI名:派遣コンプラNAVI
制作:経営支援部部長 柿谷裕美

▲ポイントも解説してくれるので、利用することで自分の中のコンプライアンス感度も磨かれていきます
✔︎どんなAI?
「派遣社員の方に、この業務をお願いしても大丈夫?」
現場で頻発するコンプライアンスの疑問。特に派遣法関連は、ケースバイケースの判断が求められるグレーゾーンも多く、派遣管理窓口が個別の問い合わせを事案ベースで対応する運用は、問い合わせる側・対応する側の双方にとって負担が大きいものでした。
そこで経営支援部部長の柿谷さんが開発したのが「派遣コンプラNAVI」です。これはAIが法的な可否を決めるものではありません。法令や公式ガイドラインの考え方を整理し、判断に必要なポイントを整理する“ナビ”として機能します。
✔︎工夫したポイント
参照すべき法令を明確に指定し、回答は「結論 → 理由・根拠 → 現場での実践アドバイス」の順で出力フォーマットを固定することで、ハルシネーションのリスクを低減しています。また、判断の背景を伝えることで、ユーザーのコンプライアンス意識の向上にもつなげています。 
「24時間365日、デザインのモヤモヤを解決する」レンジャー
AI名:Design Review Supporter
制作:クリエイティブ部部長 峰尾功太、リーダー 金子正和

▲改善点だけでなく良い点もコメントをくれるので、前向きにデザイン改善に取り組めます
✔︎どんなAI?
ちょっとしたデザイン確認でも、相談のタイミングが合わないことがあります。そんなときは、このAIが一次レビューの助っ人になります。
デザインの原理原則に基づき、良い点・改善点をロジカルに言語化。さらに「こうすればもっと良くなる」というプラスアルファのアイデアまで提案する仕様です。
✔︎工夫したポイント
デザイン評価は感覚的になりがちなので、各社の取り組みやプロンプトも参考にしつつ、出力結果を見ながら、言語化の精度を調整しました。

リーダーの「視点」を再現する
LINEヤフーコミュニケーションズのカスタムAIには、知識だけでなく、視点や個性まで再現した事例もあります。
どれも「その人らしい!」と社内で話題になっており、この記事では制作者に「自分っぽさ」を再現するコツもうかがいました。
※本人の発言を再現するものではなく、思考の観点をもとに論点整理を助ける壁打ちツールです。
CEOの“思考フレーム”で壁打ちできる「CEO視点」レンジャー
AI名:「CEO相談室」+ 「1on1ビルダー」
制作:代表取締役社長CEO 鈴木優輔

▲悩みが整理され、一歩踏み出すためのヒントをくれます
✔︎どんなAI?
「経営判断の視点が欲しいけれど、社長に直接相談するのはハードルが高い」
そんな社員の悩みに応えるために、鈴木CEO自らが開発したのがこのAIです。
これは、経営者の視点を借りてアイデアを磨ける壁打ちツールです。自身の著書『仕事は「算数」でシンプルに解決する』をベースに、以下の3つのポイントを学習させ、「脳内OS」を再現しています。
✔︎「鈴木っぽさ」を再現するための3つの工夫
- 著書を思考の土台に
著書をベースに体系化された思考プロセスを学習させ、判断基準のブレを排除 - 自身の思考ロジックを学習
表面的な解決策に飛ばずに本質を問い、ユーザーが気づいていない視点を提示し、驚きや発見につながるように設計 - 答えではなく「ヒント」を与える
成長を促すため、あえて正解を教えすぎない距離感を徹底
雑談下手なところも再現。「愛あるスパルタ指導」レンジャー
AI名:採用AIリーダー「増田」
制作:採用推進部リーダー 増田貴彦

▲雑談が苦手で早々に本題に入ろうとする性格も再現されています
✔︎どんなAI?
「個性」の再現度の高さから、採用チーム内でも話題になっているのが、採用リーダー増田さんが制作したAI、その名も「増田」です。このAIは、採用企画の面白さを追求しつつ、「リスク管理」や「個人情報保護」を冷静に指摘する役割を担います。
✔︎「増田っぽさ」を再現するための3つの工夫
- 生成AIと二人三脚で教師データ作成
生成AIが出した想定場面に回答し、会話の癖やスタンスを教師データとして抽出 - 学習する情報は最低限に
「自分語りが苦手」を再現するため、趣味(サッカー等)など必要最低限の情報のみ提供し、自分語りを禁止する仕様に - スパルタモード搭載
「どうすればできるか?」を共に探る一方、相手に答えを求めるような発言には厳しく向き合うモードを搭載。生成AI利用で起きがちな「答えを自分で考えなくなる」リスクを回避

ユーザーのリアルな声
実際に「AI増田」を頻繁に利用している採用推進部の角 咲良さんにお話を聞きました。
—— すぐ近くに本物の増田さんがいるのに、なぜAIを使うんですか? .png?width=1200&height=628&name=13%20(1).png)
角:ご本人に相談する前に、自分の考えを整理したり、抜け漏れがないか確認するために使っています。精度が高くて、本当に増田さんと話している感覚になるんです。
—— 「スパルタモード」は体験しましたか?
角:実はスパルタモードを体験したくて、わざと自分で考えずに答えを求めてみたんですが、なかなか発動せず……。粘り強く問い返してくるあたりも、優しい増田さんそっくりで(笑)
—— 成果には繋がっていますか?
角:間違いなく!AI増田さんに壁打ちしてから提案を持っていくようになり、本物の増田さんからの修正指摘が減りました。初稿の質も上がり、リアルな増田さんとは、より本質的な観点の議論に時間を集中できるようになりました。もうすぐ増田さんが育休に入られるので、ますますAI増田さんを手放せなくなりそうです。

おわりに
知識やスキルだけでなく、リーダーの「視点」や「熱意」までAIに反映し、社内でシェアすることで、仕事の可能性はどんどん広がります。
法務やクリエイティブの相談で迷いを解消したり、社長の視点で企画を磨いたり、ときにはリーダーAIに渇を入れてもらったり。そんな少し賑やかで未来的な働き方が、当たり前になりつつあります。
LINEヤフーコミュニケーションズ Pressでは、これからも現場で生まれるAI活用の挑戦や学びを発信していきます。