生成AIで上司・部下のコミュニケーションに変化の兆し。若手が実践する「提出前AIチェック」の意外な理由【全国527名調査】
ビジネス現場での生成AI活用が浸透するなか、若手社員の働き方にも変化が生まれています。 これまで上司が担ってきた「資料の細かな修正」や「形式の確認」といった役割をまずはAIにサポートしてもらうようにする。そんな新しいワークスタイルが、Z世代を中心に広がりつつあるようです。
LINEヤフーコミュニケーションズが実施した調査(2025年12月)の結果から、AI時代の新しいコミュニケーションの形を紐解きます。
調査名:生成AI時代の業務意識と上司への期待に関する調査
調査時期:2025年12月23日〜26日
調査方法:インターネット調査/Fastask
調査対象:全国のZ世代(22歳〜28歳)会社員のうち、勤務先に生成AIが導入されている環境で働く層
有効回答数:527名※本記事は、こちらの調査リリースを基に執筆しております。
◾️調査結果のポイント
①約7割が「提出前のAIチェック」を日常的に実施
調査の結果、上司へ提出する資料やメールに対し、「提出前に日常的にAIチェックを行う(ほぼ毎回+ときどき)」と回答した人は69.6%に達しました。
「まれに行う」という回答まで含めると全体の82.5%にのぼり、何らかの形でAIに目を通してもらってから上司に報告するという行為が、若手社員の間で広く行われていることがわかります。
※本記事の「AIチェック」とは、提出前の資料・メールに対し、生成AIで推敲・チェック、情報整理、アイデア出しなどを行い、内容をブラッシュアップすることを指します。
編集部
②AIチェックの目的は、上司との時間を「添削」から「相談・判断」へシフトすること
なぜ、上司に提出する前にAIを介するのでしょうか。その理由は、単純な「作業時間の短縮」以上に、上司との関係性やコミュニケーションの質を重視する傾向にあります。
◾️提出前にAIチェックを行う理由(上位回答)
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評価・信頼の維持(46.9%)
一定の水準を満たした状態で提出することで、上司からの評価や信頼を損なわないため
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相談の質を高めるため(42.9%)
上司には細かいチェックではなく、判断や相談に時間を使ってもらうため
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指摘によるストレスの軽減(30.1%)
上司から初歩的なミスを指摘されることが、自分にとって負担やストレスに感じられるため
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期待を超える成果の創出(29.7%)
自分の実力以上のクオリティに仕上げ、上司の期待を超える「高い成果」を出したいから
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作業時間の短縮(タイパ)(20.8%)
自分の作業時間を短縮し、業務を効率的に終わらせたいから(20.8%)

編集部
③AI時代、上司に期待する役割は「文脈込みの判断」
AIが形式を整えるサポートをしてくれる時代、上司にはどのような役割が期待されているのでしょうか。
人間に相談したい理由として最も多かったのは、「文脈・背景まで踏まえた判断をしてくれるから(34.5%)」でした。

編集部
生成AI時代に働くZ世代の社員のリアルな声
調査で明らかになった傾向は、実際の現場ではどのように現れているのでしょうか。AIを日常的に活用しているZ世代の社員4名に、その実感を詳しく聞いてみました
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AIチェックの目的は何?
白坂(AI入社組):上司の読みやすさを意識して使っています。敬語や要点のチェックは、AIで済ませておくのがマナーという感覚です。
亀岡(AI後追い組):上司も忙しいので、チェックいただく品質になっているかは意識します。今振り返ると、生成AIがなかった頃は、とにかく不安で、何でもかんでも上司や先輩に相談していて、すごく時間を使ってもらっていたと思います。AIと相談して自己完結できることが増えた分、上司の負担軽減につながっていると思います。
坂田(AI入社組):プロジェクトを効率よく進めるには、上司が判断するのに必要な情報が網羅されているかが重要なので、提出前にAIに確認させるようにしてますね。
宝(AI後追い組):私は自分のアイデアを通したいタイプなので、生成AIを使って見落としをなくすことで企画を通しやすくする、というニュアンスが近いです。
AIと人間の上司の役割を使い分けている?
坂田(AI入社組):そもそもAIとでは相談する内容を分けています。別部署との調整など『人を動かす時』の相談は、AIではなく上司にします。
亀岡(AI後追い組):AIは速いし時間制限がないのが魅力ですが、上司に相談すると自分が聞きたかったこと以上の『気づき』がもらえるので、上司への相談は欠かせないです。
AI時代、「上司」に期待する役割は何?
白坂・坂田(AI入社組):会社の状況やお金・人を動かす判断は上司にしかできません。バラバラにならないための『旗振り役』を期待しています。
亀岡(AI後追い組):効率化はAIに任せて、上司には「たとえ失敗しても大丈夫だからチャレンジしよう」と思わせてくれる安心感や、チームで目標に向かう一体感をぜひ先導してつくってほしいです。
宝(AI後追い組):AIはこちらが教えて情報の範囲でしか判断できない一方で、人間の上司はプロジェクトの背景や何が求められているなど背景を知っている。だから、そういった組織固有の背景を教えるような先生役であってほしいですね。
終わりに
今回の調査結果は、生成AIの普及が単なる業務効率化に留まらず、上司と部下のコミュニケーションのあり方を変える一つのきっかけになっていることを示唆しています。
上司の役割が「添削」から、人間にしかできない「意思決定」や「動機づけ」へとシフトしていく。そんな変化の兆しを、私たちも「No.1コミュニケーションカンパニー」を目指す一員として、今後も注視していきたいと考えています。