権限や技術があることは偉くない。感謝と恩返しが生む社内システム開発者としてのコミュニケーション
こんにちは!LINEヤフーコミュニケーションズ広報の福田です。
LINEヤフーのさまざまなサービスの運用を担い、グループで最もユーザー接点が多い私たち、LINEヤフーコミュニケーションズ。「1億のユーザー満足をつくる、No.1コミュニケーションカンパニー」を目指し、日々ユーザーと向き合っています。
「コミュニケーションのかたち 」は、当社の社員たちが仕事を通じて築いてきた「人との関わり方」を紹介しながら、それぞれが大切にしているコミュニケーションについて、インタビューを通して考えていくシリーズです。
今回はITイノベーション部・部長の塩川にコミュニケーションをとるうえで大切にしていることをききました。
ITイノベーション部 部長
塩川 恭浩 Yasuhiro Shiokawa
独立系Slerや物流企業等でシステムエンジニアとして17年働いたあと、旧LINE Fukuoka(現LINEヤフーコミュニケーションズ)に2018年に入社し、現在はITイノベーション部で社内業務改善に向き合っている。プライベートは熱烈なライオンズファンであり、大のスイーツ好き。娘さんの影響でアンパンマンミュージアムに詳しく、効率の良い回り方を把握している。
業務紹介
― 塩川さんの普段の業務について教えてください。
塩川:私たちの部署は、LINEヤフーやその他のグループ会社などのシステムを開発することで社内業務改善を行っています。基本的に、業務改善を依頼いただく社員の皆さんとやり取りをすることが多いです。大小さまざまありますが、数でいうと特に人事部門からの依頼が多いですね。
また、親会社のLINEヤフーと共通のシステムを利用していることや、開発部門を独自に持っている子会社が少ないこともあり、LINEヤフーCIO管掌組織の部長以上との定例ミーティングにも参加させていただいています。
システムの使い方をレクチャーする塩川さんの様子
業務の中でのコミュニケーション
― LINEヤフーを含め、幅広く連携をしているのですね。塩川さんがコミュニケーションを取るうえで大事にしていることはありますか?
権限や技術があるからといって自分の力と誤解しない
塩川:相手を尊重し、権限や技術があるからといって偉ぶらないようにしています。
私たちIT部門は、社員の皆さんをシステム上でサポートするために、通常よりも強い権限を持つことがあります。しかし、その権限はシステムを管理するためのものであり、私たちの能力が特別に優れているからではありません。この点を誤解してしまうと「皆さんのためにやってあげている」という態度になってしまうことも。
むしろ「皆さんが快適にお仕事できるようにサポートさせていただいています」という姿勢が大切だと考えています。IT部門は皆さんを支える役割にあり、権限や技術があるからといって支配的な立場にいるわけではありません。
もちろんシステムを円滑に運用するためには一定の管理が必要ですが、皆さんの意見をしっかりききながら開発を進め、心地よく使っていただけるように務めることでシステムの管理が成り立つと考えています。押し付けるものではなく、協力しあう姿勢が重要です。この点を誤解しないように気をつけています。
でも、昔の私はまさに「やってあげている」側の考え方だったんですよ。
考えが変わったきっかけは上司からの「お前何様?」
― 普段の塩川さんからは想像できないですね!きっかけがあるのですか?
塩川:以前東京にいた頃は、物流系子会社でシステムエンジニアをやっていました。最初は神戸にある営業所でシステム運用として勤務していましたが、本社に異動になりシステム開発をする立場になりました。自分が開発したシステムを、各営業所で導入するために実際に営業所に足を運んで作業をしていたんです。
自分が開発したシステムを使えば絶対に営業所の人のためになると信じて、どちらかというと「営業所のためにやってあげている」、という態度でいました。若さもありますが、地方から本社へ異動になって天狗になっていたのかもしれません。
だから、現場の社員が今までどういうことをやっていたかとか、システム導入によって生じるメリットやデメリットも正直どうでもよくて。「取引先のお客様の リクエストに答えるためには、俺がつくったシステムを使うのがベストだ」としか思ってなかったんです。
そんなある日、当時の部長に「お前何様のつもりで営業所にいっているの?」ってこっぴどく叱られて鼻っ柱をへし折られました。
「システムをつくっているだけで売上稼いでいるのか?売上を稼いでいるのは営業所の人たちじゃないか。営業所の人たちがいるから俺たちは開発ができる。お前は全然偉くない。そのことを絶対忘れるな」って。
この言葉が当時の自分には衝撃で…! その通りだと思いました。
もちろん表立って失礼な態度をとっていたわけではなく、私なりに営業所の人のためになるように、と思って動いていたつもりでした。でも部長に叱られたことで「みんなが使うシステムを管理しているんだから、営業所の人よりも私のほうがすごい仕事をしているんだ」と勝手に錯覚していた自分に気づいたんです。心の中を見透かされた気がしましたね。
自分が開発で仕事ができているのは、頑張ってくれている人がいるからであり、恩返しをするためにも開発しよう、と強く思うようになりました。
― 部長の一言をきっかけに変わった行動ってありましたか?
塩川:まずは営業所の人たちとの付き合い方を変えてみました。営業所の業務担当者と同じくらい知識を持つようにして、実際にオペレーションまで検証しました。検証を通じて、いかに現場の業務担当者が大変かを理解したことで、見え方がガラリと変わりましたね。「自分全然偉くないな、現場のこともわかっていなかった」って。
結果、営業所の方とも、単純にコミュニケーションの量が増えましたし、僕自身も、営業所の人たちとの会話を通してどういう思いで仕事しているのかを常に考えるようになりました。やはりどんな業務でもそれぞれがプロとして向き合っていて、こだわりが絶対にあるんですよね。システムを変更するにしても、そのこだわりに向き合って、ある程度受け継いでいかないといけないと思っています。共感がやっぱり大事です。同じものをみて、同じものを感じる。実際に現場の方と同じ目線に立ってはじめて開発ってできるんだなと感じています。
「課題の本質」を見定めること。
― 部長さんの言葉で塩川さんの考え方や姿勢がガラッと変わったんですね。共感しすぎると今度は寄り添いすぎて開発の難易度が上がったり、リソースが増えてしまうことになったりしませんか?
塩川:いくら希望をいわれても、会社の方針もありますし、変えないといけないことやできないことは絶対にあります。だから気をつけているのは「課題の本質」を見定めることです。
依頼があるときは、通常何かに困っているから相談に来られるのです。その困りごとの背後には、必ず原因があります。その原因を紐解いていくと、実は問題の根本は別の場所にあることもあるんですよ。根本的な原因を探し出さない限り、真の解決には至りませんし、余計なタスクが増えてリソースを圧迫してしまうことにもつながります。
本来、課題に大きいも小さいもない。
― 「課題の本質」を見定めるには論理的な思考力も必要そうですね。その点、メンバーからは塩川さんは論理的に見定める力と、人としての柔らかさを両方備えていると評判をききました 。
塩川:仕事ではどちらかというと論理的に考えるように意識しています。でも根幹には助けたいという気持ちがあるので、感情的な部分は仕事でも捨てきれないですね。私のすごく好きなドラマの「踊る大捜査線」の中で「事件に大きいも小さいもない!」というセリフがあるんです。私たちから見ると些細なことかもしれないけれど、困っている人からすると会社辞めようかなぐらいの深刻な問題かもしれない。課題の大きさはその人の見方で変わりますし、私も課題に大きいも小さいもないと思っています。助けられるのだったら全員助けたい。
ただ会社として考えると限られたリソースやお金があるので、会社に還元するためには、いかに効率よく解決していくかは考えなきゃいけなくて、そこがジレンマですね。
塩川さんのコミュニケーションのかたちは?
― 最後に塩川さんのコミュニケーションのかたちってなんでしょうか?
塩川:私の基本スタンスは「感謝」と「恩返し」です。仕事をくれるということは私たちに存在価値があると思ってくれるからこそ。まずここに感謝し、その期待に答えるかたちで恩返しすること。そして開発の際には、まず現場の方と同じものをみて、同じものを感じること。「課題の本質」を見定め、根本的な原因を解決できないか考えること。
これが私の「コミュニケーションのかたち」です。