サービスと技術をつなぐ。エンジニア出身のセールス担当が大切にする現地現物なコミュニケーション

こんにちは!LINEヤフーコミュニケーションズ広報の福田です。
LINEヤフーのさまざまなサービスの運用を担い、グループで最もユーザー接点が多い私たち、LINEヤフーコミュニケーションズ。「1億のユーザー満足をつくる、No.1コミュニケーションカンパニー」を目指し、日々ユーザーと向き合っています。
「コミュニケーションのかたち」は、当社の社員たちが仕事を通じて築いてきた「人との関わり方」を紹介しながら、それぞれが大切にしているコミュニケーションについて、インタビューを通して考えていくシリーズです。
今回はソリューションプロバイダー本部にて本部長として活躍する一条に、コミュニケーションをとるうえで大切にしていることを聞きました。

ソリューションプロバイダー本部 本部長
一条 裕仁 Akihito Ichijo
新卒でエンジニアとして開発受託会社に入社後、旧ヤフーに転職。エンジニア、PM、事業責任者など多様な職種を歴任し、同社を中心に20年以上のキャリアを積む。その間、某大手IT企業やスタートアップでの経験もあり、幅広い職歴を持つ。2025年4月にLINEヤフーコミュニケーションズに参画。実は大学時代、3ピースバンドでベースボーカルを務め、プロミュージシャンを目指していたという異色の経歴の持ち主。某大手音楽企業の新人育成部門から声がかかるほどの実力だったとか。
業務紹介
ー 一条さんの普段の業務について教えてください。
一条:2023年に旧LINE Fukuokaと旧ヤフーのカスタマーサービス部門が統合し、LINEヤフーコミュニケーションズが誕生したことで、ユーザー対応に関するソリューションの幅が大きく広がりました。私の本部の一番大きなミッションは、カスタマーサポート、モニタリング、テスト業務など、サービス運営を中心とした当社が提供できるソリューションを 、LINEヤフーの各サービス事業部の皆さんに活用してもらうためのセールス活動です。
私は元々旧ヤフーに計20年以上勤めており、昔から知っている方々が各サービス事業部のさまざまなポジションにいらっしゃるため、非常にコミュニケーションがとりやすい状況にあります。これは生かさない理由がないですよね。
同時に、エンジニアとしてのバックグラウンドを活かして、AIに業務をどんどん任せていく取り組みも少しやらせてもらっています。今までと同じ人数でも、AIを使いこなすことで5倍、10倍の成果を出せるような 状態を目指したいですね。そうすれば安心してガンガン仕事をとってこられますから。
「あいつが動くと忙しくなる」と思われがちな営業ですが、AIで仕事を楽にする側面も同時に見せることで、天使と悪魔の両面作戦というか、嫌われないようにしたいですね…!
2014年に米ヤフーに行った時(写真左)。
ヤフオクのユニットマネージャー時代にヤフオクのハンマーヘッドを合成された社内向けポスター(写真右)
ー 業務を受けとる側まで作用できるセールスができるのは、一条さんの強みですね。そもそもLINEヤフーからLINEヤフーコミュニケーションズに転籍を決めた理由はなんだったんでしょうか?
一条:転籍前、私はLINEヤフーの広告審査部門にいて、現在のLINEヤフーコミュニケーションズの広告審査チームと相対する立場でした。そこで広告審査チームの業務を見学させてもらったんです。
その時に感じたのは、皆さんが非常に前向きで、工夫もするし、ガッツもあるということでした。同時に、LINEヤフーのサービスの人たちには見えていないポテンシャルがある。それがもったいないとも感じました。「この人たちとサービス側をもっと橋渡しをしたい、お互いの価値を伝え合えるようにしたい」と心から思いました。そんな時に、LINEヤフーコミュニケーションズの本部長とご飯に行く機会があって、そこで「今一緒にお仕事しているけれど、ポテンシャルが高くて楽しそうだよね」みたいな話をしたら、もうロックオンされて。「じゃあ来てよ」っていわれた、という経緯です!
業務の中でのコミュニケーション
ー 一条さんがコミュニケーションで大切にしていることは何でしょうか?
現場に足を運んで初めてわかること
一条:現場に足を運んで実際に見ることですかね。謙遜でもなんでもなく、頭で理解するよりも、実際に見て体験しないと自分の中に知識として定着したという気がしないんです。だからこそ「百聞は一見にしかず」を大切にしています。
というのも、昔とあるサービスの不正パトロール業務 の現場を見に行った時、そこで使っているツールを自分で実際に使ってパトロールをしてみたんです。そうしたら、もうイライラしかしない。操作が複雑で、いろんなページを行き来しなければならなくて。
でも同時に、現場の方々が期待以上に本当に丁寧に業務をこなしていること にも気づいたんです。素晴らしいマインドなんですが、費用対効果で考えると、もう少しベターなバランスがあるなと感じました。現場の方々は慣れてしまい当たり前のように操作できるため、「別にこのままでいい」と思っているんですが、素人目で見ると本当に大変な作業だったんです。
これは自分だけが感じていても改善されないと思い、後日、そのツールを開発しているエンジニアと一緒に現場に行って、同じ気持ちになってもらいました。作り手とも「これは直さなきゃダメだよね」という共感を生まないといけないと思ったんです。
あの時の体験があるから、LINEヤフーコミュニケーションズに入社し、本部長という立場になってからも、各拠点のオペレーションを見させてもらっています。実際に現場を見て把握しているからこそ、「このクオリティで対応できます」と自信を持って伝えられますし、逆に「これは正直得意ではなく、期待に添えない可能性があるので、今はお引き受けしない方がいいと思います」といった判断も率直に伝えられます。
落語の名人が教えてくれた「誰も置いていかない」コミュニケーション
ー 現場を実際に見て状況を理解されているからこそ、セールスと運営、運営と開発など、異なる部門間でも自然に理解し合えるんですね。他にもコミュニケーションで意識されていることはありますか?
一条:相手によって用語を変えるようにしています。AI系の話などでは、つい専門的な言葉を使いがちですが、できるだけ使わず、いい換えられるところはわかりやすい言葉に置き換えます。
実は、ここには落語からの影響があります。好きな落語家に古今亭志ん朝さんという昭和後半の名人がいるのですが、彼の落語はめちゃくちゃ聞きやすい。江戸時代が舞台の古典落語でありながら、わかりづらい言葉が出てきたときに、志ん朝さんは必ず自然に「現代語訳」のようなフォローを入れてくれるんです。
例えば、「子は鎹(かすがい)」という作品で子供が「お父さん、お足をくれよ」というと、お父さんが「なんでお前そんな金いるんだよ」と返す。このやりとりによって、聞き手は「お足=お金」という意味を自然に理解できるようになっている。わざとらしくいうわけでもなく、わからない人を置いていくわけでもなく、そういうのがすごくかっこいいと思って。
これを現代のビジネスに置き換えると、エンジニアの言葉を事業側に、事業側の言葉をエンジニアに、お互いがわかるように自然に翻訳して伝えていく。志ん朝さんの「誰も置いていかない」技術を、私なりに実践しているつもりです。
技術と事業、セールスと運営、それぞれが使う言葉や考え方は違いますが、その間に立って自然にフォローを入れることで、みんなが理解し合えるようになる。それが私の役割だと思っています。
「やられたら嫌」から始まるシンプルな哲学
ー 他にも一条さんは何でも受け止めてくれる包容力がある、という声も聞きました。究極の人たらしだとか!
一条:ありがたいですけどね、もっと上の人たらしもたくさん知っているのでおこがましいと思っちゃう。でも、一旦何でも受け止めようとする理由としては、やられたら嫌だからですね。本当にシンプルに、否定しないことを心がけています。
コミュニケーション上の癖として、話を聞いて「いやー」みたいなところから始まる人もいますよね。「でも」「それは」とか。別に否定しようと思ってないのに出ちゃう人もいると思うのですが、いわれた方は嫌な気持ちになるかもしれない。だから最初は「なるほどね」「確かに」から始めるようにしています。
相手への想像力を大切にしたいんです。例えば、全然知らないサービスで何かインシデントが起こった時、中が見えていないと頭ごなしに「何やってるんだ」っていいたくなってしまう。でも、そこで働いている人が見えて、オペレーションが見えていると、「ちゃんとやってるのにインシデントが起きたということは、これはじっくりと聞かないといけないだろうな」という想像が働くようになります。
まず相手のことを理解しないといけません。否定から入ってしまうと、相手は心を閉ざしてしまって、本当に伝えたいことが聞けなくなってしまいますから。
一条さんのコミュニケーションのかたちは?
ー 最後に一条さんのコミュニケーションのかたちってなんでしょうか?
一条:自分がやられたら嫌だなって思うことを意識してコミュニケーションをとること。これが私が一番大切にしていることです。自分の発言をしっかり受け止めてもらいたいと思っているからこそ、人の言葉も心を込めて受け止めたい。どういう思いがあってその言葉にいたったのか、できるだけ丁寧に聞くようにしています。
私の役割は人と人を「つなぐ」ことだと思っています。技術と事業、つくる人と運営する人。立場が違えば使う言葉や考え方も違いますが、それぞれの想いがお互いに伝わるように橋渡しし、理解し合える関係をつくる。そのためには、まず自分が双方を知り、寄り添う姿勢が必要だと考えています。
その姿勢は、LINEヤフーコミュニケーションズが掲げる「No.1コミュニケーションカンパニー」というビジョンにも通じるものだと思っています。サービスとユーザーの間に立ち、つながりを誰よりも理解している立場として、気付いたことを相手に返していく、そんな役割を担うことも私の大切な役割です。
これが私のコミュニケーションのかたちです。