福岡に、「やりがいある仕事」をつくる―LINE Fukuoka「クリエイティブビジネス」の7年とこれから
【お知らせ】2023年10月1日にLINE Fukuoka株式会社からLINEヤフーコミュニケーションズ株式会社へ社名を変更しました。9月30日以前の記事は、旧社名の情報を元に作成しています。
2020年11月18日、設立7周年を迎えるLINE Fukuoka。組織規模、有する機能ともに、7年間で急速に拡大してきました。
現在のLINE Fukuokaが持つ機能を改めて紹介するとともに、7年間でどんな変化があったのか、今後どんなチャレンジをしていくのか、組織のリーダーたちに聞く7周年企画。
第3回は、 メディア運営、デザイン、ゲームに関わる「クリエイティブビジネス」組織の登場です。
話を聞いたのは…
CONTENTS
「LINEが持つニュースメディアのBCP」を具現化。福岡独自コンテンツも発信
サービス関与度の高いデザイン業務が拡大。組織としての「再現性」も高める
マーケからモニタリングまで。LINE GAME運営を包括的に担う事業型組織へ
福岡に、「やりがいある仕事」と「成長できるチーム」をつくる
「LINEが持つニュースメディアのBCP」を具現化。福岡独自コンテンツも発信
―「NAVERまとめ」などユーザー参加型メディアの運営業務を一貫して担う組織から始まったのが現在のメディア運営室。
2020年現在、ユーザー参加型メディアに加え、LINE NEWS・livedoor NEWSなどのニュースメディアをはじめとする複数の媒体運営に携わり、業務範囲も編集・執筆、ファンプラットフォームの企画・運営など、拡大しています。
西原:前提として、福岡で就ける仕事を増やしたい思いがありました。
特にメディアに携わる仕事は、首都圏の方がキャリアの選択肢がある状況が続いています。 「東京に行かなくても福岡でできる」状態をつくりたいと思い、業務範囲を拡大してきました。
同時に地域性を生かした記事の制作など、福岡ならではの価値をつくることも大切にしています。
扱う媒体や業務の幅が広がったことで、メンバーの個性が生きるようになりましたし、さまざまなバックグラウンドを持ったメンバーが入社してくれるようにもなりました。
“仕事が人を呼び、人がまた新しい仕事を生む”良いサイクルが回り始めた手応えがあります。
福岡で話題になっていたネタを取り上げた、メディア運営室制作の記事。地域に根差しているからこその強みを活かす。
実際の記事はこちら:
フレンチにパブも! 公募が生んだ福岡の新屋台がいまアツい
「キュウリ禁止」「女人禁制」福岡最大級の祭り・博多祇園山笠にまつわるタブーを調査
「やらない善よりやる偽善」悪の秘密結社がカルティエの指輪を警察に届ける姿が話題に
実際の記事はこちら:
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「キュウリ禁止」「女人禁制」福岡最大級の祭り・博多祇園山笠にまつわるタブーを調査
「やらない善よりやる偽善」悪の秘密結社がカルティエの指輪を警察に届ける姿が話題に
―2016年にlivedoor NEWS、2019年にLINE NEWSのBCP対策拠点としてバックアップ組織の設立・機能移管を開始。大規模災害等で首都圏の機能が停止する事態になっても、メディアを継続し、必要な情報をいちはやく発信できる体制をすでに整えています。
西原:LINE Fukuokaの存在理由のひとつがBCPであり、多くのユーザーに利用していただいているサービスとして果たすべき責任があります。
同時に、 「生命に関わる大事な情報を、自分たちで集めて発信できる」組織にしたいという思いを個人的に持っていました。
原点は2011年の東日本大震災での体験です。震災発生後、東日本のユーザーの皆さんが、NAVERまとめで「避難所の空き状況」や「必要な物資を購入できる場所」のまとめをつくってくれていて。当時私はまとめ業務に携わっており、ユーザーの行動に心を動かされた一方で、こうした生命に関わる重要な情報を、自分たちで集めて発信できている訳ではない無力さも感じたんです。
首都圏で何か起きた際にも、必要な情報を自分たちで発信できるようにしたい。そのためにニュースメディアを担当したい、と考えるようになりました。
ニュースメディアを運営した経験はありませんでしたが「自分たちにもやらせてほしい」と手を挙げて2016年ころから徐々に任せていただけるようになり、「任された以上の付加価値を生む」ことで徐々に業務範囲を拡大していきました。
メディア運営室の業務風景。現在約70名が所属し、さまざまな媒体の運営に携わっている
―今年に入って、マネージャーも多数登用されていますね。
西原:私自身、室長に任命された時点では実力不足だったと思います。今もまだまだ、ですが、この立場になって学んだことは多いです。 「立場が人をつくる」を実感しているからこそ、メンバーにも積極的に機会提供できたらと思っています。
さまざまな考え方やバックグラウンドを持ったリーダーがいることで、組織としてより良い意思決定ができるとも考えています。
―今後はどんなチャレンジをされますか?
西原:ユーザーとコンテンツをつないで終わるのではなく、 その後の体験まで大切にできる組織にしていきたいですね。
たとえばPVのような“どれだけ見られたか”の指標も大切ですが、コンテンツに対してユーザーが“どんな感想を持ったか、どんなアクションにつながったか”を強く意識できる組織でありたいと考えています。
また内々の目標ですが、会社に対して存在感を出せる組織でありたいです。
恐れずに組織やサービスの垣根を越えることにチャレンジして、いい意味で会社のルールや制度を変えられるような存在になりたいです。
東京から編集長を招いて開催された編集力向上ワークショップの様子
クリエイティブ室
サービス関与度の高いデザイン業務が拡大。組織としての「再現性」も高める
―開発センター内で、LINEスタンプ用のイラストを描くたった2人のチームから始まったクリエイティブ室。現在は60名以上の規模となり、LINEスタンプのディレクションから制作、着せかえのデザイン・パッキング※、サービスLPのUIデザイン・運用などLINEサービスに関わるデザインを幅広く担っています。
※デザインからカラーコードや要素の値等を取得し、着せかえに適用していく作業のこと
特に設立当初から制作を担ってきたLINEスタンプについては、今後ディレクション業務の福岡完全移管も進める予定です。
峰尾:福岡のイラストチームが価値を生み出し続けるためには、より上流工程を担っていくことが必要だと考えています。クライアントと一緒にどういうスタンプを作るべきなのか?を考えていく必要があります。
―最後に、この3室を束ねるセンター長の越智さんに質問です。クリエイティブビジネスセンターを、今後どんな風に進化させていきたいですか?
イラストレーターを社内に抱えるLINE Fukuokaでディレクションすると面白い提案ができると思い、2019年8月からディレクション業務に取り組むようになりました。
LINE Fukuokaはデザインのプロとして制作フェーズを担当。LINE株式会社ではアライアンスやクリエイターの育成を担う、といった役割分担ができると、双方の可能性がより広がっていくと考えています。
イラストチームが実施している「スケッチ会」の様子。スキルを磨くための取り組みも活発
―2017年からはサービス運用に関わるバナー等のデザイン業務を開始、2018年以降はUIデザインの業務も拡大しています。
峰尾:デザイナーの中には、 「サービスをつくりたい」という意思を持った人が多くいます。だからこそLINEを選んだメンバーも多い。
メンバーの成長や楽しく働ける環境を支えるためにも、より直接的にサービスに関与するデザイン業務は増やしていきたいと考えています。
BCPの観点でも、東京に何かあった際にLINEのクリエイティブ組織として 機能が止まらない体制が整っていることは価値だと思っています。
―デザイン業務の幅の広がりや高度化に加えて、効率化の面でも進化している印象です。
中でも2019年におこなわれたLINE着せかえのパッキング業務自動化プロジェクトは、手動時の64倍の速度でパッキングが完了できるツールを内製。「LFK Value Award」の社員投票で1位を獲得するなど、社内でも大きな注目を集めました。
峰尾:「ピンチ」から生まれた成果ですね。LINEアプリが大幅なアップデートをする際に、短期かつ限られた人数でパッキング業務をおこなう必要がありました。工数を試算したら、とても人手が足りないことが見えていた。その中で、メンバーが自発的に自動化に取り組んでくれました。
―通常ならば開発部門や外部に依頼しそうなところ、自分たちでツール自体をつくってしまったことも驚きでした。
峰尾:そうですね、僕もそれは驚きました。(笑)
元々システム設計の素養を持ったメンバーがいたことに加えて、一人の発想をチームでより良いものに磨き上げる文化を、チームマネージャー中心につくってきてくれたことも大きいと思います。
2019年度のLFK Value Award、社員投票で1位を獲得したパッキング自動化プロジェクト。実際に使用するメンバーへのヒアリングやテスト利用を重ね、ユーザビリティも向上させていった
―現室長である峰尾さんを中心に拡大してきた組織ですが、2019年以降は新しいマネージャーも増え、組織としても進化している印象です。
峰尾:担う業務の範囲が急速に広がり、2018年末頃に、特定の人間がトップダウン型でマネジメントをおこなうのは限界だと感じるようになりました。組織型にしていかないと、業務拡大スピードに追い付けない状況だったのです。
僕が抜けたら回らない、とは思いませんが、マネジメント層を育てるなど、自分がいなくても組織が動き続ける状態をつくることにあまり取り組めていませんでした。そこで、この2年は特に 「再現性」を意識して組織づくりをおこなってきました。少しずつ、 場当たり的な対応ではなく、先を見越した組織化ができつつあると感じています。
―今後はどんな風に組織を進化させたいですか?
峰尾:クリエイティブに携わる人の多くはマネジメントへの興味が薄い印象ですが、近年「デザイン思考」が話題になるように、デザインにおける思考方法や経験は組織や事業づくりにも必ず生きてきます。
クリエイティブとマネジメント、両方を担える人材は強い。組織デザインの面白さに関心を持つメンバーが増えると、それも福岡の強みになると考えています。
Game事業室
マーケからモニタリングまで。LINE GAME運営を包括的に担う事業型組織へ
―LINE GAMEにまつわるさまざまな業務を担うGame事業室。CSから始まり、現在では一部事業企画、マーケティング、ディレクション、モニタリングと、サービス提供に必要な業務のほとんどを担っています。
職能ごとの組織が増えてきたLINE Fukuokaにおいては珍しい、ひとつの事業に紐づいて包括的に業務をおこなう「事業部型」の組織でもあります。
中西:メディア運営室やクリエイティブ室と思想は同じで、 「やるからには、東京でできることを全部やろう」という意思がありました。LINE Fukuokaの企業成長観点もありますが、LINE GAME自体が急速に拡大する中で、 成長を止めないためにも福岡であらゆる工程を担えるようになることが必要でした。
培った知見は社外へも。ゲーム業界を目指す学生向けに必要なスキルや知識を伝えるトークイベントも実施してきた
―新しい業務が次々に増える中で、必要とされるスキルも変化してきたと思います。どのように対応したのでしょうか?
中西:経験を積んだメンバーが入社してくれたことはもちろんですが、 元々CSを担っていたメンバーがスキルの幅を広げていったことも現在の組織力に大きく寄与しています。
サービスの規模や業務内容が 激しく変化する中、柔軟に対応しながら、徐々に特化したスキルを身に付けていった メンバーが多いのも組織の特徴ですね。
一方で、メンバーのスキル向上や組織としての進化が決して「計画的に」おこなわれてきた訳ではありませんでした。100名近い規模になり、メンバーが身に付けたスキルをどう生かすのか、事業目標達成に向けて各チームがどう寄与していくのか曖昧になっていたことなど、組織としての課題も顕在化していきました。
サービスの急拡大フェーズが過ぎ、効率化・品質向上のフェーズに入る中で、役割定義の見直しと業務フローの整備が必要になりました。
―2019年から2020年にかけて、組織の再編もおこなわれましたね。
中西:役割ごとに3つのチームに大別しました。直接的な売上形成の仕組みづくり・実行を担うMarketingチーム、リリース・運用計画の進行管理を通じて売上に貢献するDirectionチーム、サービス・顧客対応品質の維持を通じて売上に貢献する運営支援チームです。
それぞれの役割や方向性が明確になる中で、 各チームが業務改善のためのアクションを活発に起こしてくれています。
―今後はどんな風に組織を進化させていきたいですか?
中西:Game事業室内の役割整理はだいぶ進んできました。今後は 室内だけでなく、ローカライズ、カスタマーケア、QAなどLINE Fukuoka内の他室との連携をより強固にすることで、ユーザーに還元できる価値を高めていきたいと考えています。
LINE GAMEのユーザー規模と事業的責任を自覚し、Game事業室が担う役割の大きさと成長を皆で楽しみ、ゲーム事業の新しい価値をつくる組織になりたいです。 目指すは日本一のゲーム運営人財集団!ですね。
2019年に実施したキャリア採用イベント「採用の日」の様子
福岡に、「やりがいある仕事」と「成長できるチーム」をつくる
―3室それぞれに業務内容は異なりますが、「福岡に面白い仕事・やりがいある仕事を増やす」という思いは共通していたように感じます。
西原:LINE Fukuokaは2019年に福岡で「 最も働きたい企業No.1」を受賞しましたが、正直、私自身はギャップを感じていて。「そんなにすごくなったかな?」と思うんです。
もちろん、組織として確実に成長しているし、誇れる点もある。でもまだまだ途上です。
この7年で、「え!福岡にそんな仕事があるの!」と驚かれるような仕事が少しずつ増えてきました。これからも、業界や時勢を俯瞰して、必要かつ面白い仕事を意図的につくっていきたいですね。そんな仕事が増えることで、LINE Fukuokaはもっと面白くなると思います。
中西:そうですね。うちの会社で働くメンバーに対し、 人財としての市場価値を高められているか、やりがいを提示できているか。組織としてその観点はこれからも大事にしていきたいですね。
峰尾:2019年に、この3組織で「クリエイティブビジネスセンター」が立ち上がりましたが、正直最初は共通項が見出しづらくて、この3組織が一緒になる意味とは?と思っていました。(笑)
でも結果、おふたりと一緒に働くことで学んだことは多いですし、組織づくりのヒントもたくさんいただいています。こういう場をマネージャー同士でもつくってあげられると良いですね。
―最後に、この3室を束ねるセンター長の越智さんに質問です。クリエイティブビジネスセンターを、今後どんな風に進化させていきたいですか?
越智:2019年のセンター設立当時、異業種の集合体であるこの組織をどうまとめていくか考え、3つの組織に共通しているのは 「コンテンツを通して、ユーザーや世の中に“伝える”仕事」だと気づきました。
そこで、センター方針を「コンテンツ競争力を高めるために、"伝わる力"を追求する」としました。3人の言葉にもありましたが、 「福岡だから」ではなく、勤務地を隠しても、仕事内容や成長できる環境かどうかで選んでもらえる組織にしたいと思っています。
設立2年目になりますが、まだ過渡期。一人ひとりが"伝わる力"を持てるような業務環境、制度設計、マインド・モチベーション管理など、マネジメントにおける課題はいくつか残っています。しかし、各組織がそれぞれの強みを生かしながら、方針や戦略の組み立て、戦術の実装などをおこなってくれており、想定以上のスピードで自律的な組織へと進化しています。
私の思いとしては、それぞれの室が一つの事業体として成り立ち、自分たちで経営し、利益を生み出せる組織になって欲しいです。
それを成し遂げたときには、きっと どんなコンテンツにも負けない"伝わる力"が十二分に備わった組織、WOWをCreateする第一線の組織になっていると思います。
編集後記:LINE Fukuoka Press編集部
「福岡に、面白い仕事を増やしたい」。実は今回に限らず、7周年企画のインタビュー中、多くのリーダーたちから出た言葉でした。
福岡というまちの魅力だけではなく、仕事内容やチーム環境で全国から選ばれる。LINE Fukuokaがそんな会社であるために、我々も頑張らなくては!と背中を押される取材でした。越智さん、西原さん、峰尾さん、中西さん、ありがとうございました!
次回、第3回はサービス開発、QA・テストなど「技術」部門の7年についてお届けします。
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▼本記事に登場した組織の採用情報
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<クリエイティブ職>
<ディレクター/LINE GAME>
<マーケティング・プロモーション/LINE GAME>
<メディア編集/Kstyle>
▼7周年記念企画 LINE Fukuokaの7年とこれからを語ろう【全7回】
1)11月10日公開
2)11月11日公開
3)11月12日公開
福岡に、やりがいある仕事をつくる―LINE Fukuoka「クリエイティブビジネス」の7年とこれから(本記事)
4)11月13日公開
5)11月16日公開
6)11月17日公開
7)11月18日公開